ビーガンなどを見据えた準備も

――キユーピーのように強力なブランドを持つと、イノベーションを起こしにくい面がありませんか。

「新しいものをどんどん生み出すより、長い時間をかけて育てたものが主力商品になっています。小さな商品改善を重ねることこそが、イノベーションにつながると考えます。マヨネーズやドレッシングも徹底して磨きあげてきています。新事業など社員からアイデアが出てくると、既存の事業から離れたものであることが多く、その場合は育てるのが難しい面もあります。ただ社員にはこれからも様々に挑戦してもらいたいですね」

――創業家との関係はどう考えていますか。

「あくまでブランドオーナーは創業家です。創業家の中島周会長はブランド広告を担当しています。テレビCMはキユーピーの商品を売りつけるようなものではありません。きっちりとしたブランド広告をすることが、消費者からの信頼度の高さにつながっています。もしテレビの『キユーピー3分クッキング』で自社の何かの商品を使ってほしいと言えばできるでしょう。しかしそうしたことをやらずにブランドを守り、広告に統一性を持たせています。理念を変えず経営に取り組み、お互いに緊張感を持ってやっています」

――一部の消費者の間では、ビーガン(完全菜食主義者)など動物性の食事を避ける潮流も生まれています。

「当社は、卵のことを一番知っているからこそ『卵を使わない卵』を研究テーマにしています。海外では豆を使った液卵も販売されています。こうした技術を持つ企業との提携もあるかもしれません。アニマルウェルフェア(動物福祉)の流れもあります。卵を扱う以上、鶏がどう扱われているのか知らなくてはいけません。顧客の要望に応えるため、日本だけでは難しければ、ケージを使わない養鶏がしやすい海外から調達する技術なども必要でしょう」

(聞き手は日経MJ編集長 鈴木哲也)

長南収
1980年(昭55年)鹿児島大水産卒、キユーピー入社。14年取締役。16年常務執行役員。17年2月から現職。大学時代はカッターボート部に所属。06年に広域家庭用営業部長に就任し、17年ぶりのマヨネーズの値上げを担当した。64歳
■タマゴ事業、コロナで振るわず
キユーピーの2020年11月期の業績予想は売上高が前期比3%減の5300億円、純利益が43%減の107億円を見込む。マヨネーズやドレッシングなど調理・調味料事業が前期の売上高ベースで全体の34%を占め、タマゴ事業(18%)とサラダ・総菜事業(17%)を加えた3事業が収益源になっている。
各事業でバランス良く稼いでいた同社だが、今期は新型コロナウイルスの感染拡大が響く。特に外食や製菓会社向けが多いタマゴ事業は利益が大きく落ち込む。納入先がコロナ下で振るわず、卵の在庫コストも利益を圧迫する。来春に本格投入する新規事業の「フレッシュストック」を早急に収益の柱に育てられるかがポイントになる。
(逸見純也)

[日経MJ2020年11月23日付]

管理職・ミドル世代の転職なら――「エグゼクティブ転職」

5分でわかる「エグゼクティブ力」
いま、あなたの市場価値は?

>> 診断を受けてみる(無料)

「エグゼクティブ転職」は、日本経済新聞社グループが運営する 次世代リーダーの転職支援サイトです

NIKKEI 日経HR


マネジメント層に必要な4つのスキルを鍛える講座/日経ビジネススクール

会社役員・経営幹部の方を対象とした、企業価値を高める経営の実務に役立つビジネス講座を厳選

>> 講座一覧はこちら

ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら