窓拭き・床掃除でエクササイズ 家事を工夫、筋力UP
在宅勤務や新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛の影響で、家で過ごす時間が長くなった。運動不足を感じる人も多いのでは。普段の家事に取り入れられる運動を家事ジャーナリストの山田亮さんが解説する。
人の移動制限が緩和されてきたとはいえ、スポーツイベントが中止されたり、スポーツクラブも人数が限られたりと、コロナ前に比べ運動の機会は減っている。冬を迎えるにあたり、体重増加を気にする人もいるだろう。
そこで今回は普段の家事の中で、少し工夫するだけで筋肉強化やストレッチにつながる動作を紹介したい。理学療法士で腰痛対策アプリを運営するバックテック(京都市)の最高経営責任者でもある福谷直人さんにアドバイスをもらった。
片足で窓拭き バランス養う
運動の前に注意点から。まず床に置いた荷物を持ち上げるまねをしてみよう。ここでひざや股関節、腰に痛みを感じたり違和感を持ったりした人は、無理をしないでほしい。急激に体に負荷をかけるとケガのもとになる。
それでは掃除でできる運動を紹介しよう。高いところを拭くときなどはつま先立ちで。足を引き締める運動になる。足の指を広げて立つと、さらに筋肉への負荷がぐっとあがる。余裕がある人は、足の指で床をつかむようにし、肛門周りをキュッと締める意識で立つと、より効果的だ。
窓拭きは腕や肩、背中の運動になる。スクワットをしながら拭くのもいいが、片足で立ち、手をぐっと伸ばして拭くと、バランス感覚も養われる。
台拭きなど中腰姿勢での掃除の際は、空いている方の手を腰にあてるなどして、片手で掃除してみよう。バランスを取るため足やおなか周りに力が入り、簡単な拭き掃除が一気に全身運動に変わる。
床拭きは、重労働の代名詞。ということは運動としても最適だ。左右のバランスに気を付けながらゆっくりと拭こう。勢いをつけて拭くよりも、筋肉への負荷が高まり効果があがる。
紙モップや掃除機を使う場合は、一歩踏み出す際にフローリングなど床材の向きにあわせて、つま先からかかと、ひざ、股関節が一直線になるようにすると、お尻とももの筋肉を鍛えられる。福谷さんによると「ひざが痛いという人の多くは、足を前に出す際、ひざが外側に流れる傾向がある」という。ひざの向きに注意しながら行おう。
背中ひねって 洗濯物たたみ
次は洗濯編。高い物干しに洗濯物を干す際はつま先立ちで。低い位置はスクワットで干すのも良い。床拭き同様、ゆっくり動く方が効果的だ。スクワットの際はひざがつま先より前に出ないように注意したい。
洗濯物をたたむのも工夫次第でエクササイズになる。タオル類は右後ろ、衣類は左後ろというように、たたんだものを後方に置いてみよう。肩甲骨を大きく回すイメージで背中を左右にひねる。そのとき、腰は動かさないのがポイントだ。無理に動かそうとすると腰痛の原因になる。
洗い物などキッチンでの作業も、つま先立ちが取り入れられる。片足を横に上げたり下ろしたりする運動も、腰回りやおなかが気になる人は、ぜひ試してほしい。在宅勤務などで座りっぱなしだと股関節の前側の筋肉が縮こまっているので、足を後ろに引き上げて伸ばすのもいい。
かかとで立つのもおすすめだ。つま先から太ももやお尻まで全体的に力が加わる。ただしどこかにつかまるなど、十分注意して行おう。
家事をしながらエクササイズする際は、音楽を流しながら行うと、一定のリズムで動くことができて効果的だ。自分のペースに合った音楽を見つけたい。
運動する際は、負荷をかける筋肉の場所へ意識を向け、ゆっくりと動かそう。「呼吸を止めないことが重要」(福谷さん)。鼻から吸って口から吐き出す、を繰り返すことで血圧上昇を防ぐほか、基礎代謝量もあがる。
「負荷は小さすぎても大きすぎてもダメ」と福谷さんは言う。小さすぎると「なんだ、できる!」で続かない。大きすぎると「ムリだ! できない!」で諦めてしまう。10回試して7回目くらいでつらくなる程度の回数や負荷の大きさが、継続するには最適だ。自分にあった負荷を見付けて毎日続け、コロナ時代の運動習慣を身に付けてほしい。
(家事ジャーナリスト 山田 亮)
[NIKKEIプラス1 2020年11月14日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。