花王アルブラン イメージカラーを白から赤へ大転換

日経MJ

ブランドのイメージカラーを赤に変えた(川崎市のイトーヨーカドー新百合ケ丘店)
ブランドのイメージカラーを赤に変えた(川崎市のイトーヨーカドー新百合ケ丘店)

花王の化粧品ブランド「ALBLANC(アルブラン)」が転換期を迎えている。2004年に「ソフィーナ」の派生ブランドとして誕生し、50~60代を中心に一定の支持を集めてきたが、ソフィーナの陰に隠れがちだった。今春、イメージカラーをこれまでの「白」から「赤」へと大胆に変えて、ソフィーナから独立。30代ら若い世代への顧客層拡大を進めている。




真っ赤な棚が目立つ販売カウンターも新設

10月16日に化粧品売り場がリニューアルしたイトーヨーカドー新百合ケ丘店(川崎市)。真っ赤な棚が目立つアルブランの販売カウンターも新設された。

花王初の化粧品ブランドのソフィーナから派生する形で誕生したアルブランは「明るさや透明感を兼ね備えた肌」がコンセプトで、白を前面に打ち出したブランディングを進めてきた。ブランド名も、「ALB」はラテン語で、「BLANC」はフランス語で、「白」を意味することに由来する。保湿機能の回復や血液循環の促進など、コンセプトを実現するための成分も工夫してきた。

ドラッグストアや総合スーパー(GMS)で展開し、洗顔やベースケア、ベースメークなど商品領域は広い。接客を伴うカウンセリングも好評でリピート率は7割だ。20年10月時点でドラッグストア約2800店、GMS約600店で販売。19年には過去最高の売上高を記録した。

知名度で劣りブランド廃止の危機も

順調に成長してきたように見えるアルブランが刷新に踏み切ったのは、過去に販売伸び悩みやブランド消滅の危機に直面してきたからだ。派生ブランドでは、顧客の認知度はもちろん、社内の商品開発や販促への投資にも限界がある。

最初の壁は07年。業界では商品に希望小売価格を表示しない動きが広がった。割り引き率を強調した安売りができず、販売を伸ばすためには一定の販促投資が欠かせなくなった。だが、花王は他ブランドに注力し、アルブランへの投資は抑制。販売が伸び悩んだ。

12年には限られた経営資源の配分をめぐって、知名度が劣るアルブランのブランド廃止が一時、社内で真剣に議論されたという。

18年に花王は化粧品ブランドの選択と集中に着手。グローバルに展開する11ブランド(G11)と、国内で成長させる8ブランド(R8)を中心に投資する戦略を打ち出したが、アルブランは優先度が低く、このリストから漏れた。

ブランド強化のため、パッケージからソフィーナの文字を消す

熱心な顧客も多いことから19年1月に「R8」に追加されたものの、「一つ一つのブランドをとがらせる」が、現在の花王の化粧品事業の戦略だ。ソフィーナの一部として埋もれがちだったアルブランも、独立してブランドとしての個性を磨くことを迫られた。

パッケージの文字はソフィーナをなくし、アルブランのみ。ブランドカラーはより目立ちやすい赤に。今後はGMSの売り場も赤く統一し、これまでの強みだった機能性に加え、世界観の演出にも力を入れる。

再出発の第1弾として、5月16日に「アルブラン 薬用ファーストエッセンス」を発売。なめらかな炭酸泡が肌になじむ美容液で、透明感や潤いを生み出す。価格は90グラムで1万円ほど。「独立したブランドとしての認知度が高まってきた」(花王)と滑り出しは上々だ。赤く変身したアルブランで顧客層の拡大を目指す。

(川井洋平)

ブランド名はラテン語とフランス語の「白」という単語を掛け合わせたもの。「潤白美肌」をコンセプトに04年に誕生。ドラッグストアやGMSで展開し、50~60代を中心に支持を集める。今後は、30代などより若い層への拡大を目指す。

[日経MJ 2020年11月13日付]


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