精肉店ダイリキが「1人焼き肉」併設店 東大阪市
食肉小売りチェーンのダイリキ(大阪市)は、精肉店と1人向け焼肉店を併設した新業態店を大阪府内に開いた。精肉店で焼き肉向けの品ぞろえを増やし、食事を終えた顧客の「ついで買い」を誘う。精肉の仕入れを統一しており、定食の価格を1000円程度に抑えた。地元住民の注目も集め、売り上げは好調に推移している。
大阪府東大阪市に開いた店舗の名称は「ダイリキ若江岩田駅前店」。ワンフロア内に精肉店「ダイリキ焼肉市場」と焼肉店「お肉屋さんのひとり焼肉」が併設し、来店客は両店を行き来できる。焼肉店は1人1台の無煙ロースターで、1席ずつ間仕切りで仕切り、周囲を気にせずにひとりで手軽に焼き肉を楽しめる。
ダイリキはスーパー内に出店することが多かったが、同店は単独出店となった。「集客をスーパーに頼れないなか、焼き肉をフックにして精肉店の来店につなげている」。ダイリキの持ち株会社、1&Dホールディングス(大阪市)の高橋淳社長は解説する。
焼肉店は集客の「フック」にするべく、様々な工夫が施されている。まずこだわったのは提供するメニューだ。1人焼肉店では珍しく、鮮度管理が難しいホルモンを充実させた。定番のカルビやハラミの定食に、単品メニューとしてホルモンを追加注文できる。
定食の価格は1000円程度がほとんどで、手の届きやすい価格設定にした。
肉のカットでは精肉店の強みを生かし、肉の種類ごとに厚みなどを変えている。焼肉店の厨房は精肉店と共通にすることで、精肉店のスタッフが肉のカットも行えるようにした。「同じ肉でもカットが違えば柔らかさやタレとの相性が変わる」(高橋社長)。店内で肉をカットすることで常に新鮮な状態で提供する。
座席に用意されたQRコードを対話アプリ「LINE」で読み取って注文することで、料理の提供時間を短くしている。対面の接客では7分程度かかるところを約4分に短縮できたという。店員を呼ぶ手間を省くことで、ホルモンなど単品メニューの追加注文を気軽にできるようにして客単価を上げる狙いもある。
焼肉店を楽しんだ顧客の精肉店での「ついで買い」につなげる。通常の店舗より焼き肉向けの商品を充実させている。特に精肉は焼き肉向けの精肉を、通常より7割増の50種類にしている。希望すれば焼肉店と同じ味付けにすることも可能で、お店の味を家庭に持ち帰れる。精肉のほか、サンチュやキムチなど焼き肉関連の品ぞろえを充実させている。
ターゲットとして想定していた女性のほか、シニア層からの支持を集め、売り上げは好調だ。9月の売上高は焼肉店で計画比1.7倍、精肉店で計画比1.5倍で推移する。高橋社長は「肉の質を高めた1500円以上の高価格帯メニューも想定以上に注文されている」と話す。開店前には行列ができることも多いという。
ダイリキは同形態の店舗の出店を今後も続ける。12月には大阪府八尾市で2店舗目を開店し、年2~3店舗のペースで出店を進める考えだ。
(泉洸希)
[日経MJ 2020年11月4日付]
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