手術痕から「リンパ漏」 カテーテルで負荷軽く完治も

手術などがきっかけで、リンパ管のなかを流れるリンパ液が体外へ漏れ出てしまう「リンパ漏」という病気がある。日常生活で困るものの、放置したり、病院でも尿漏れなどと誤って診断されたりしている患者も多いという。だが近年、カテーテルを使った新しい治療法などが広まり、治療効果は高いという。思い当たる人はあきらめずに専門の医師に相談してみよう。

「リンパ漏の症状に困っていても、実際に病院で治療している人は限られている」と指摘するのはJR東京総合病院の三原誠特任医師だ。同病院のリンパ外科・再建外科でリンパ漏の治療にも積極的に取り組む。

リンパ漏とは、リンパ管が傷つくことで中を流れるリンパ液が体の外に漏れだす病気だ。そけい部や腹部、首の周り、わきの下などに多くあるリンパ節が手術などで傷つくと、リンパ液が傷口などから出てきてしまうという。

リンパ液は血管から漏れ出た血漿(けっしょう)やタンパク質の成分からなる黄色の液体で、体にたまった余分な水分や老廃物などを運ぶ。血液と並んで重要な液体だ。体内には2~3リットルのリンパ液が流れている。リンパ漏になると、1日に漏れ出るリンパ液は500ミリリットルから2リットルぐらいと個人差が大きいが、「生活に支障をきたす人も多い」(三原医師)。漏れ出るリンパ液量が多い場合、栄養状態、免疫状態が徐々に悪化していくリスクもある。

リンパ漏を起こす原因でもっとも多いのは手術だ。特にがんの手術では、がんの転移を防ぐためにリンパ節を大きめに切除することは珍しくない。このときにリンパ管が傷つきやすい。

症状もリンパ液の漏れ以外に、手術した部分の痛みや腫れ、圧迫感などさまざまだ。体表にできた水疱(すいほう)にばい菌が入り、発熱を繰り返すケースもある。手術後の入院中であれば、気づきやすく再手術でリンパ漏を起こしているリンパ管の傷口を糸でしばって閉じる。

ただ、高齢者の場合、再手術は身体的な負担が大きい。医師は目で見ながらリンパ液が漏れているリンパ管を探すため、見つけ出せず、漏れを十分に止められないこともあるという。

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