ひじき料理、もっと手軽に 「ドライパック」を活用
管理栄養士 今泉マユ子
煮物や炊き込みご飯でおなじみのひじきは日本では古くから親しまれてきた。「鉄分を補うならひじきを食べよう」と言われた人も多いのでは。日本食品標準成分表2015年版では以前に比べてひじきに含まれる鉄分量が大幅に減ったのが話題になった。私たちがよく目にする乾燥ひじきは従来は鉄釜で煮ていたが、近年はステンレス製の釜を使うようになったためだという。そうはいっても食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富に含まれている。我が家の食卓には欠かせない食材だ。
ひじきは海藻の一種。春に海岸沿いの岩場で収穫し、乾燥させて使うことが多い。茎のような部分は長ひじき、葉のように出ている部分は芽ひじきなどと呼ぶ。長ひじきはしっかりと歯応えがあり、煮物や炒め物によく合う。一方で芽ひじきは細かくてやわらかく、ひじきご飯やサラダに向く。
常温保存できて備蓄用の食材としても重宝する乾燥ひじき。ただ水で戻すのに時間がかかるからと敬遠しがちな人もいるはず。災害など万が一の時には十分な水を確保できないかもしれない。そこでおすすめなのがドライパック製法のひじきだ。容器に素材を入れて中の空気を抜いた高真空状態にし、高温の蒸気で蒸し上げている。
ドライパックには缶詰やレトルトパウチがあり、スーパーでも缶詰コーナーなどを探せば見つかることが多い。ひじき以外にも大豆やミックスビーンズ、コーン、キノコ、ゴボウなど種類は様々。素材本来のうまみや食感が残り、パッケージを開けてそのまま食べたり、料理に使ったりできる。普段の食事や弁当づくりにも役立つ時短にはもってこいの食材だ。
乾燥した芽ひじきを水で戻す場合、ザルの目に挟まって取れなくなったり、逆に目をすり抜けてこぼれたりすることがある。ドライパックを使えば、こうした下ごしらえのストレスも減らせる。
手間が省けた分、いろいろな食材との組み合わせや味付けを考えてみるのも楽しい。例えばボウルにひじきと大豆のドライパックを1缶ずつ入れ、さらにイワシのかば焼き缶を汁ごと入れて混ぜるだけでも簡単におかずが1品完成。しょうゆやポン酢を好みで足すとさらにおいしい。
カニカマとあえてみたり、竹輪や油揚げと一緒に煮付けたり、卵焼きに入れたりするのもいい。ハンバーグやスパゲティ、チャーハン、お好み焼きに入れるのもおすすめだ。いつもの乾燥ひじきとドライパックを使い分けながら楽しんでほしい。
1969年生まれ。管理栄養士として企業の社員食堂、病院や保育園に勤務。缶詰やレトルト食品を使った時短レシピのアレンジのほか、防災食アドバイザーとしても活躍。
[日本経済新聞夕刊2020年10月13日付]
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