ドレッシングは万能調味料 唐揚げ下味、洋風ちらしも
サラダを食べるのに欠かせないドレッシング。和風にイタリアン、フレンチ、ゴマなど多彩な味が楽しめるが、使い切れないまま冷蔵庫に並んでいる家庭も少なくないだろう。サラダ以外の活用法を専門家に聞いた。
「賞味期限を過ぎてしまった」「もらったけれど使い慣れない」。そんなドレッシングをどう使おうか迷っている人は多いかもしれない。食品ロス問題に取り組む料理研究家の行長万里さんは「サラダに使うものという固定観念を取り払うと活用範囲は広い」と話す。
酢や油の効果 特徴生かして
ピエトロは公式サイトでドレッシングを使った料理のレシピを公開している。レシピ開発を担当しているC&D部開発課の奥多佐知子さんは「砂糖や塩、酢、しょうゆなど基本的な調味料がほぼ含まれている。実は万能調味料として使える」と説明する。
料理が苦手な理由として多いのが、調味料を測るのが面倒だったり、味付けが難しいと感じたりしてしまうこと。奥多さんは「ドレッシングなら調味料を一つ一つ量る必要がないので、料理嫌いの人でもハードルが低い」と話す。
ラベルに記載されている原材料を参考に、合わせる食材を考えるといい。たとえば、酢が入ったドレッシングは肉の下味に使うにはぴったりだという。奥多さんは「つけ込むことで肉がやわらかくなり、くさみも取れる」と指摘する。
しょうゆベースの和風ドレッシングに肉を20分ほどつけ込んだ後、片栗粉をまぶして揚げる鶏肉の唐揚げは「簡単なのに人気の高いレシピ」(奥多さん)だ。
行長さんも酢の効果に着目する。「パサつきやすい鶏の胸肉もつけ込むだけでしっとり仕上がる。イタリアンドレッシングならハーブの風味も生かせる」。そのまま焼いたり、揚げたりするだけでいいので時短にもなる。
魚料理にも活用したい。行長さんは「青魚を煮るときにしょうゆ味のドレッシングを使うと、くさみが取れてまろやかな味になる」という。
ご飯と合わせてすし酢代わりに使うこともできる。行長さんのおすすめは、イタリアンドレッシングで味付けする洋風サラダずし。チーズやハム、好みの野菜と一緒に混ぜるだけだ。「イベントなどで作ると子供に大人気な味」と行長さん。
同じすし酢代わりでも、奥多さんはしょうゆベースの和風ドレッシングを使う。アボカドとサーモンを合わせた洋風ちらしずしは「手間をかけず、華やかに仕上がるのでパーティー料理にもいい」(奥多さん)。
米料理への応用は幅広く、炊き込みご飯の味付けにも使える。「オイルの効果でご飯にツヤが出ておいしく仕上がる」と奥多さん。
油が多く含まれている点に着目した使い方もある。奥多さんのおすすめはアヒージョだ。「調理した後に油が残りがちな料理だが、ドレッシングなら余分な量を使わずにすみ、カロリーカットにもなる」。ホイル焼きやソテーのソースとしても出番がありそうだ。
一方で、油控えめなタイプの和風ドレッシングは和食との相性がいい。「白あえや煮びたしなど、味付けが難しそうな料理もドレッシングだけで味が決まる」(奥多さん)
ひと手間加え 野菜おいしく
野菜もほんのひと手間でおいしくなる。同社が運営するレストランで、奥多さんが「人気ナンバーワンだったレシピ」と紹介するのがラペだ。千切りにしたニンジンと紫キャベツをフレンチタイプのドレッシングであえ、オレンジを加えるだけのシンプルな1品だ。
行長さんはドレッシングと水を1対1で割ったものに、好きな野菜を刻んでつけ込むだけの即席ピクルスを提案する。「冷蔵庫に中途半端に残った野菜を使い切れる」と話す。
ドレッシングは基本的に、野菜にかけて完成する味としてつくられている。行長さんは「調味料として使う場合はちょっと少ないかな、と思うくらいの量がちょうどいい」と助言する。塩分が気になる人は即席ピクルスに限らず、水や油で割って味を調整するといいだろう。
ほかにも「卵焼きや炒め物など、いつもの料理の味付けをドレッシングに変えるだけで、簡単に味の変化が楽しめる」(行長さん)。ドレッシングを活用して、新しい自宅料理に挑戦してみてはいかがだろう。
(ライター 李 香)
[NIKKEIプラス1 2020年10月10日付]
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