店やZOZOで簡単オーダー オンワード「KASHIYAMA」

日経MJ

簡潔で分かりやすい接客で顧客の商品選びをサポートする(東京都中央区のKASHIYAMA銀座6丁目店)
簡潔で分かりやすい接客で顧客の商品選びをサポートする(東京都中央区のKASHIYAMA銀座6丁目店)

オンワードホールディングス(HD)がオーダーメードブランド「KASHIYAMA(カシヤマ)」の拡大にアクセルを踏み込んでいる。都心部での出店に加え、8月末からZOZOとの協業によりネット完結型のサービスを本格化。過剰在庫やセール依存といった業界の構造問題から決別する試金石ともなるだけに、確たる成果を上げられるか注目が集まる。




注文服のKASHIYAMA新店 短納期と値ごろ感をアピール

東京・銀座の中心部にある「KASHIYAMA銀座6丁目店」。入店すると男性向け、女性向けに分かれたフロアに様々なスーツやジャケットの「見本」がかけられていた。店内は広くはないが、接客カウンターはゆったり。商品の種類を決めたり採寸したりするための専門店だ。

利用客は事前にオンラインで予約をして来店。販売員が用途や好みの色味、予算などを聞き取り、ニーズに合わせてスーツなどの形やサイズ、ボタンの種類などを決めて採寸、購入へと移る。生地は3万円台からで約150種類、型数もジャケットで8型、パンツは3型をそろえる。

接客はiPadを活用し、「顧客が簡潔でスピーディーに商品を選べるよう工夫している」(オンワードパーソナルスタイルの竹田哲哉氏)。多くの顧客の所要時間は40~50分。一般的にオーダーメードの場合は2時間程度かかるケースも多く、効率性が際立つ。

商品を注文してからのスピードも特徴だ。商品は中国・大連のグループ工場で生産するが、自動化技術などを活用して納期は最短で1週間。2回目以降は採寸したデータを基に、来店せずに注文できる。竹田氏は「短納期と値ごろ感が支持され、20~30代の客層も増えている」と語る。

ZOZOTOWN内で会員の体形データを活用した受注販売も

オンワードHDが男性向けスーツでKASHIYAMAを始めたのは2017年秋。女性向けスーツなどに品ぞろえを順次広げ、新型コロナウイルスを機にさらなる強化策を打ち出した。それが8月末からのZOZOとの協業だ。

ZOZOの衣料品通販サイト「ZOZOTOWN」を通じたサービスでは、約100万件の体形データを活用し、身長と体重を選ぶと体形に合ったジャケットやワンピースなどを購入できる。1万3千~3万円台と値ごろ感を強調し、納期も最短10日程度。今後は取り扱いを靴などにも広げ、5年で年間売上高を100億円に育てる考えだ。

新型コロナはアパレル業界の長年の構造問題を見直す「劇薬」ともなっている。シーズンごとに大量の新作を投入して過剰な在庫を抱え、夏冬のセールで大幅値引きで販売する手法だ。こうした商慣習が各社の収益力を低下させてきたが、コロナで問題がより顕在化し、各社にビジネスモデルの抜本的な見直しを迫る。

オンワードHDも大量閉店を実施するなど状況は厳しいが、保元道宣社長は「生き残りに向け新たな収益モデルを作る」と強調する。在庫を持たず値引き販売も不要なオーダーメード事業はその重要な鍵となる。

KASHIYAMAは今年、銀座や丸の内、虎ノ門など都心部での出店を加速している。同業他社もオーダーメード事業には注力し始めており、成功モデルを早期に確立できるかが問われそうだ。

(河野祥平)

KASHIYAMAは2017年10月から展開を始め、男女向けスーツのほか、シャツやパンプスなど順次取り扱いを広げてきた。オーダーのハードルを下げ、若者層にも支持を広げる。伸縮性や速乾性に優れたセットアップが特に好調。「スーツ離れ」が進むなか、今後どれだけファンをつかめるかが重要になる。

[日経MJ 2020年10月9日付]


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