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ブラジルでコメ5キロ450円 巣ごもり、通貨安で急騰

日経MJ

食料品価格の上昇が庶民の食卓を直撃している(サンパウロ市内のスーパー)
食料品価格の上昇が庶民の食卓を直撃している(サンパウロ市内のスーパー)

煮込んだ黒豆をご飯にかけて食べる、ブラジルの国民食フェイジョン。この料理が現在、食料価格の上昇により危機にさらされている。新型コロナウイルスの影響で特にコメの価格が前年比で2割近く上昇しており、スーパーでは買いだめを防ぐ警告まで出ている。

「コメは1人あたり10キロまで」。サンパウロ市内のスーパーをのぞくと、このような貼り紙が目立つようになった。値上がりが続く中、まとめて購入する人が後をたたないためだ。

ブラジル地理統計院(IBGE)によると、8月の物価上昇率は年率2.4%と低水準だったが、食料品価格は8.8%と急騰。なかでもブラジルの食卓に欠かせないコメは19.2%となっている。

あるスーパーでは「ティオ・ジョアン」ブランドのコメは5キログラムあたり23.49レアル(約450)円。月額最低賃金が約1000レアルの中、食卓に欠かせないコメの値上がりは痛手だ。地元メディアはコメ抜き、豆だけのフェイジョンを食べる市民の姿を紹介する。

食料品の価格上昇の要因は諸説ある。まず巣ごもりによって家庭で調理する人が増え、需要も高まったことが一因とされる。「世界の食料庫」として数多くの食品を輸出しているブラジルだが、国内産品の多くが輸出に回っており、新型コロナに伴う混乱で国内向けの供給に制約が生じている面もある。結果として割高な輸入品に頼らざるを得ないが、通貨レアルは対ドルで下落している。こうした要素が価格に織り込まれているようだ。

食料品価格の上昇は市民の生活に直接響くため、政府も敏感だ。ボルソナロ大統領はスーパーなど小売業界に対し「犠牲や愛国心を求める」として値上げの抑制を要求。スーパーなどの業界団体は「既に利益を削っている」と主張し、議論は平行線をたどっている。

毎日のようにコメの値上がりが報じられる中、政府は年末までの期間限定で、コメの輸入関税を撤廃すると発表した。それでも消費者心理を改善させるには至っておらず、今後も市民がコメ価格に神経をとがらせる日々が続きそうだ。

(サンパウロ=外山尚之)

[日経MJ 2020年9月28日付]

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