便利で簡単な折り紙 2分で作れるゴミ箱や小物入れ
紙を折ることで、さまざまな形を作り上げる日本伝統の折り紙。日常に生かしてみてはいかがだろう。実生活に役立ちそうなものの折り方を教わった。
箱や鶴を折ったり、お菓子を包んだり。包装紙や千代紙など1枚の紙を自由に折って楽しんだことのある人は多いはずだ。しかし、最近は紙を折る機会も減った。
簡易な紙箱なら 作り置けて便利
「かつては多くの家庭でゴミを入れる紙箱やスリッパ、ちりとりなどを古紙で折っていた」と話すのは、長方形の紙を使って動物などを創作する折り紙作家の三木康生さん。
使っていたのは、チラシやデパートの包み紙、雑誌の切り取りページなど。三木さんも気に入った紙は普段から集めていた。「生活の知恵のようなもの。折り方は家族や年配者から見よう見まねで教わった」
例えば、新聞紙やチラシなど長方形の紙で作る簡易な紙箱。食卓でむいた果物の皮やカラ入れに使う。そのまま燃えるゴミとして捨てられて便利だ。キッチンでは調理中に出た野菜くずを入れる三角コーナーやビニール袋の代わりになる。
しかも、軽くてかさばらない。慣れると2分程度でさっと折れる。時間のあるときに作り置きし、折りたたんで収納しておくのがおすすめだ。
気に入った色や柄で折れば、暮らしを彩る入れ物としても重宝しそうだ。仕上がりの大きさをイメージし、用途によって紙のサイズを変えてもいい。
意識したいのは、折りすじ。谷折りでつけることが多いだろう。三木さんは「指先で折りすじをしっかりつけると、立ち上がりがよく仕上がりがきれいになる」とアドバイスする。
折り紙の基本は折る、たたむ、という動作だ。色や柄がついた紙が折れ曲がることで、さまざまな形が生まれ、模様も引き立つ。最近では、古くから受け継がれてきた折り方だけでなく、自由に表現する創作折り紙を楽しむ人も多い。
日本折紙協会会員の折り紙作家で「和の風合いを楽しむ飾り折り紙」の著者、小宮はじめさんも、そのひとりだ。「折り紙は知的好奇心が刺激されるツール。一枚の紙から新しい形を自由に作り出せるのが醍醐味」
小宮さんは花びらが12枚のダリアをはじめとした、花の飾り折りを考案した。ラッピングに添えるなどして生活のなかに生かしている。ちょっとしたプレゼントとしても喜ばれるという。
折り紙には、折り方の手順を書いた折り図がある。まず谷折りと山折りを意識しよう。一見複雑そうだが、「正しく折りすじをつける手順を踏むこと。折りすじがガイドになり、たたみ込むときに自然とできあがりの形に導いてくれる」(小宮さん)
できあがり図のように上手に仕上がらないという人もいるかもしれない。その理由の多くは、角やふちのずれ。「きちんと合わせて、しっかり折るのがコツ」と説明する。
とくに点と点を結ぶ折り方は、ずれやすい。ポイントは「紙をゆっくりと曲げ、角度が決まったところで折る」(小宮さん)。
平らな机の上で ゆっくり丁寧に
制作するときは安定した平らな机の上で、慌てず、ゆっくりと丁寧に折り進めよう。できあがりをイメージしながら折ると、折り図を読み取りやすくなる。厚めの紙は折りすじがつきにくく、角がつぶれやすい。柔らかい紙や千代紙が扱いやすいという。
小宮さんが考案した、風車のような飾りが目を引く作品は、アイデア次第でいろいろな場面で役に立つ。風車の羽根を持って立ち上げ、形を整えるとおしゃれな小箱になる。潰した状態では簡易な薬入れや、心遣いを渡すときのポチ袋など、包み紙として活用できる。コースターなど敷物としても使えそうだ。
上級者に対しては、「最初の折りすじは端だけつけて」と小宮さん。小宮さんは、1センチ程度の印をつけるのにとどめている。そうすると小箱の底に折りすじがつかず、見た目がすっきりときれいに仕上がる。
久しぶりの折り紙は手間取るかもしれないが、ちょっとしたゆがみも手作りの面白さといえる。完成すると達成感も味わえる。身近にある紙で楽しく折って、役立ててみよう。
(ライター 児玉 奈保美)
[NIKKEIプラス1 2020年9月26日付]
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