足トラブルはアーチ構造の崩れから 足裏筋トレで予防

NIKKEIプラス1

写真はイメージ=PIXTA
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コロナ禍で浸透した在宅勤務。気になるのが運動不足だ。対策の基本はまず歩くことだが、加齢や体を動かしていないことで足に不調が生じがち。ヒトの足の特徴を知って予防し、しっかり歩ける体を保とう。

足(くるぶしから下)の不調は「歩き始めに足の裏が痛む」「親指の付け根が痛い」「くるぶしが痛い」などさまざま。下北沢病院(東京・世田谷)足病総合センターの菊池恭太センター長は「原因の多くは二足歩行するヒトの足に特有なアーチ構造の崩れが関係している」と解説する。

足を構成する骨は筋肉や腱(けん)に支えられアーチ構造を形づくっている。この構造で体重をクッションのように受け止め、蹴り出す力も生み出すことで効率よく歩ける。

このアーチが加齢や運動不足で潰れ始めることが、足の不調をもたらす。例えば親指が外側に向かい指の付け根が痛む外反母趾(ぼし)。菊池センター長は「関節が柔らかい女性の場合、足指の骨に無理な力が働くと発症しやすい」と指摘する。一方、関節の硬い人は、親指の付け根の関節の軟骨がすり減って炎症を起こす強剛(きょうごう)母趾になりがちという。

足裏には足底を前後に引っ張りアーチを支える足底腱膜(そくていけんまく)がある。無理に歩いてアーチへの負荷が増すと、腱膜に炎症が起きて痛む足底腱膜炎になる。また、足裏の神経が圧迫されて痛みやしびれが起こる「モートン病」を発症することもある。

アーチは、ふくらはぎや脛(すね)の筋肉と腱によっても支えられている。足の内側にあり、くるぶしの後ろを走る後脛骨筋腱(こうけいこつきんけん)の機能が衰えると内くるぶしの後ろが痛む「成人期扁平足(へんぺいそく)」になる。アキレス腱に負担がかかると、かかとが痛み足を踏み込めないアキレス腱付着部症をもたらす。

順天堂大学医学部付属順天堂医院(東京・文京)足の疾患センターの亀田壮医師は「アーチの崩れは加齢とともに進行する」と話す。一般的な整形外科で足の病気を診断する場合、X線検査でアーチ構造の変化、炎症による骨の変形などを調べる。ただ、X線検査で分かる段階は既に症状が進み治療は難しくなる。そこで「予防と早期発見が重要」(亀田医師)になる。

菊池センター長は「外反母趾や強剛母趾の初期段階では骨に異常が見られなくても、長く歩いた後に親指の付け根が痛むといった炎症の症状が出ている。足の痛みは早めに足の専門医に相談してほしい」とアドバイスする。専門医は、足関節の硬さやアーチ構造の特徴を診断し、早期ならアーチをサポートするインソール(足底板)の使用を助言。早めに予防することで、手術が必要になるなどの重症化を防ぐ。

予防には筋肉や腱を鍛える運動も重要になるが、無理は禁物。亀田医師は「在宅勤務や外出自粛で1日の歩数が減っていた人が、スポーツの秋だからといって急に長時間歩いたり、ランニングをはじめたりするとアーチ構造に負担がかかる」と警鐘を鳴らす。

大切なのは準備運動。ちょっとした空き時間でもできる。まずは、アーチを支える筋肉や腱のストレッチを丁寧にすること。アキレス腱のストレッチはよく行われているが、足裏も意識して丁寧に伸ばそう(イラスト参照)。亀田医師は「足指は、足裏の筋肉や腱とつながっているので、足指のトレーニングも有効」と助言。イスに座り、足の指で床に敷いたタオルをたぐり寄せる運動も有効だ。

予防対策と早期の診断・治療が、いくつになっても健康に歩けるための足づくりに欠かせない。相談先となる専門医は「足の外来」などを掲げていることも多い。日本足の外科学会のホームページでも紹介している。

(ライター 荒川直樹)

[NIKKEIプラス1 2020年9月26日付]

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