米国ペパロニ コロナで卸値1ポンド525円に高騰
【ニューヨーク=河内真帆】新型コロナウイルスの感染拡大は、米国人の大好物ピザにも思わぬ影響を及ぼしている。トッピングとして一番人気の具材、ペパロニの卸値が供給不足などで高騰しているのだ。外出規制・自粛で、ただでさえピンチのピザレストランにとってはダブルパンチとなっている。
ペパロニはサラミ風の乾燥ソーセージ。豚肉と牛肉の合いびき肉にパプリカやトウガラシで味付けし、ピリッと辛みがある。日本のピザはイタリア発祥のサラミを利用することがほとんどだが、米国でピザといえばペパロニが定番となる。通常であれば1ポンド(約450グラム)3ドル(約420円)前後で卸売りされていたのが、最近では5ドル(約525円)前後に跳ね上がった。
ペパロニの価格上昇は需要増加と供給不足の両面から起きている。まずコロナ危機に伴う外出規制でレストランも営業停止となり、人々の食事が自炊か宅配に限られた。そこで、もともと人気が高く、宅配も気軽にできるピザの需要が跳ね上がった。これに伴ってペパロニなど具材の需要も高まった。
一方、ペパロニの供給元である食肉製造業では、工場で働く人がコロナウイルスに感染するケースが発生。工場を閉鎖するところも出てきた。これで食肉製造が一時ストップし、供給不足が起こった。特に加工肉は利ざやが薄い割には労働力を要することから、製造側も供給力の回復を遅らせているとみられる。
全米に拠点を構えサプライチェーンを確立している大手レストランは別として、地元密着型の零細ピザレストランにとっては、ペパロニの高騰は大きな痛手となる。これまでの素材から1ランク下のものに切り替えて、ピザ価格そのものを値上げしないようにしているところも出ているようだ。
日本人が小腹が空いたときにおにぎりや菓子パンをつまむように、米国人にとって軽食と言えばペパロニピザが真っ先に挙がる。カジュアルなパーティーなどにも欠かせない。米国の「ソウルフード」だけに、価格が上昇すれば、食卓に登場する回数が減るのか興味深いところだ。
[日経MJ 2020年9月21日付]
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