小児の放射線被曝を防ぐ 医療検査は低線量・エコーで

「診断に影響のない範囲で被曝をできる限り低くするのが国際的な共通認識だ」と訴えるのは日本小児放射線学会の宮崎治副理事長。CT検査は線量を多くするほど詳細な画像を得られるが、「検査を行うメリットが被曝のリスクを上回ることが前提」と強調する。

東京大病院では先天性心疾患などの診断のため心臓CT検査を行う際、体積から小児検査に必要な線量を計算し、低線量の目安とされる1~3ミリシーベルトをさらに下回る0.3ミリシーベルトで検査する。同病院の放射線科医、前田恵理子氏によると、小児の心臓CT検査では施設によって放射線量に最大70倍以上の格差があるといい「線量を適正に管理できていない病院が多い」と指摘する。

前田氏は19年9月、「日本小児心臓CTアライアンス」を設立し、普及啓発活動を始めている。今年2月に東京で開かれたセミナーには全国から定員を上回る80人が参加した。新型コロナウイルスに対応するため、オンライン教材も作成中という。前田氏は「小児の被曝低減にはまず、医療従事者の意識改革が必要。低線量化を全国に広げていきたい」と意気込んでいる。

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「被ばく低減」認定は128施設

日本診療放射線技師会は2005年から「医療被ばく低減施設」の認定を始めたが、認定は全国で128施設にとどまり、こども病院は1施設のみだ。

放射線量の最適化に努め、機器の品質管理や患者への説明を徹底しているかを書面や訪問でチェックする。審査に1年程度かかるほか、認定されても診療報酬加算などの直接的な利益はない。放射線医学総合研究所人材育成センターの赤羽恵一・研究統括は「医療放射線への意識が低い状況が続いている」と嘆く。

厚生労働省は19年3月に医療法の改正施行規則を公布(20年4月施行)し、放射線の安全管理義務を明確化した。同省が同年10月に策定したガイドラインでは患者の線量記録や、学会などでつくる「医療被ばく研究情報ネットワーク」がまとめた目安を活用し、線量を最適化するよう求めた。

海外では線量を法的に規制する国も多い。同省の対応について赤羽氏は「状況が変わる契機になる」と期待している。

(福田航大)

[日本経済新聞朝刊2020年9月21日付]

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