季節変わりは家事満載 「ひとりごと」にしないコツ
生活コラムニスト ももせいづみ
日没の時間が徐々に早くなり、朝夕の風に秋の気配を感じるようになった。こうした季節の変わり目にやっておきたい家事がある。
例えばベランダの整理。押し入れやクローゼットの換気とそうじ。エアコンのフィルターそうじ。これから使用頻度が高まる加湿器や暖房器具の点検。夏に汗を吸った服の洗濯。しまってあった厚手の毛布やラグの虫干しもある。
忙しい人に向かってこうした季節家事を羅列するのは気がひけるけれど、どれも今やっておきたい仕事だ。ベランダや家回りは台風への備えが必要だし、エアコンのフィルターや加湿器の水タンクは放置するとホコリやカビがたまってしまう。家の中には梅雨時から夏にかけて発生したダニなどの死骸が堆積している。閉め切っていた場所を開放して掃除しておかないと、冬に向けて部屋の空気が汚れたままになる。服の手入れも怠ればシミや虫食いを呼ぶ。
毎日する家事に比べ、こうした季節家事はなかなか「時短」技が生まれにくい。ただ、やらずに済ませてあとで困るよりは、少々面倒でも今やっておいたほうがずっと楽。どうしたら少しでも簡単にできるのだろうか。
私はこうした季節家事こそ、ぜひ「シェア」を基本に取り組んでほしいと思っている。家族でだけでなく、友人同士でもいいし、外注も立派なシェア。とにかく、ひとりで決めて黙々と取り組む「ひとりごと家事」だけはしないでほしいなあ、と思うのだ。
家族が協力的ではないという人は伝え方を工夫してみよう。これまで書いてきたように、これらの家事にはすべて今やるべき立派な理由がある。この「なぜ」をきちんと伝えるのがとても大切。加えてそれを「いつまで」にしなくてはいけないのか、期限を決めてプレゼン(提案)してみよう。
「夏の間に大量の虫が発生して死骸になっているから、10月までにはクローゼットをそうじしたいと思う。そうでないとこうした結果になる」。インターネットでデータやダニの死骸の写真などを探しても効果的かもしれない。「なにを」「なぜ」「いつまでに」するか共通認識が持てたら、「誰が」「どうやって」するかを話し合って、きちんと文字に残して示しておこう。
検討した結果、実施が難しそうな場合は、おそうじ会社や便利屋など、外部サービスの利用を視野に入れて。特に高齢家庭やゆとり時間が少ない人は無理をせず、頼れるものにはどんどん頼ろう。
日々のそうじや洗濯、料理に比べれば、季節家事は「なぜ」いま必要なのかが伝えやすいし、家族にとってもイベント気分で参加しやすいもの。加えて、外注への抵抗も少ないはずだ。
「ひとりごと家事」で終わらせてしまってはもったいない機会。どんどんシェアして楽しんで!
東京都出身。暮らし、ライフスタイルを主なテーマとするコラムニスト。本コラムを含め、自著のイラストも自ら手がける。新刊に「お弁当にスープジャー」(辰巳出版)、「新版『願いごと手帖』のつくり方」(主婦の友社)など著書多数。
[日本経済新聞夕刊2020年9月15日付]
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