検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

5歳唾液・わさび警報… 日本はイグ・ノーベル賞大国

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

ノーベル賞のパロディー「イグ・ノーベル賞」が18日午前(日本時間)に発表される。2019年まで13年連続で受賞するなど、日本は世界有数のイグ・ノーベル賞大国。なぜ日本人の受賞が多いのか。

明海大学教授の渡部茂さんは昨年の受賞者。表彰された研究は「5歳児の1日に出す唾液分泌量」の調査だ。子どもに食べ物をかんでもらってそれを吐き出し、唾液量を調べる。30人で実験したところ1日約500ミリリットルのつばが出ることが分かった。それまで医学書には1日1~1.5リットル程度と書かれていた。

米ハーバード大学のメモリアルホールで開かれた授賞式では、渡部さんの3人の息子がかみ砕いた食べ物を吐き出し、会場の笑いを誘った。自腹で授賞式に出たのは、「普段、世間から顧みられない歯学の研究が認められて素直にうれしかったから」(渡部さん)。

イグ・ノーベル賞は「品がない」という意味の「イグノーブル」と「ノーベル賞」を掛けあわせた造語。1991年に科学雑誌編集長のマーク・エイブラハムズ氏らによって創設された。選考基準は「人を笑わせ、考えさせる」こと。「おバカな研究」の表彰と一般には思われているが、授賞式にはノーベル賞受賞の世界的権威がスタッフとして働き、過去にはイグ・ノーベル賞受賞者がその後、ノーベル賞に輝いたこともある。

日本人の受賞者は米英に次ぐ規模だ。立教大学特任准教授の古沢輝由さん(サイエンスコミュニケーション)は「日本人は真面目で『これだ』と決めたらコツコツやる。周囲の人も応援する。学問を尊ぶ風土が大量受賞につながっているのでは」とみる。

市民に科学の魅力を伝える日本科学未来館の科学コミュニケーター、田中沙紀子さんは「ノーベル賞もイグ・ノーベル賞も純粋に研究者が好奇心を突き詰めた結果である点で同じ。すぐに役立つか分からない基礎研究を長く続けてきた日本の科学研究の裾野の広さが背景」と指摘する。

一昨年に講演で来日したエイブラハムズ氏は「日本は、変わったことをする人に寛容でそれを誇りに思う国だから」と聴衆に説明した。科学研究者の琴線に触れるようなテーマが日本には結構多いということなのだろう。

古沢さんと田中さんがともに「日本人が受賞した研究の中で一番」と太鼓判を押すのが、北海道大学教授の中垣俊之さんの粘菌の研究だ。中垣さんはアメーバ状の粘菌を使った研究で2度、受賞した。1回目は08年の「認知科学賞」で、2回目は10年の「交通計画賞」だ。

1回目は、迷路の出口に餌をまき、粘菌が最短のルートで餌に到達する実験。単細胞生物が迷路やパズルを解く能力があることを証明したとして評価された。2回目は都市交通システムを粘菌に作らせた実験。関東地方の地図を基に東京、横浜など主要都市のある地理的位置に餌を置くと、粘菌はJRの鉄道路線と似た広がり方をした。

中垣さんは「原始的な知性の芽生えが見て取れる」と話す。今は対象を他の生き物に広げ、どんな情報処理をしているかを調べている。

大腸がん検診で受ける内視鏡検査。座った姿勢で自ら内視鏡をお尻に挿入するユニークな実験で18年の「医学教育賞」を受賞したのが長野県の医師、堀内朗さんだ。研究をさらに発展させ、今では手術を伴う大腸内視鏡検査でもマイカーで病院に来て、その日のうちに自分で運転して帰れる医療体制を確立した。

1999年に同県駒ケ根市にある「昭和伊南総合病院」に着任し、内視鏡検査の受診者が少ないことが分かった。直径1センチの内視鏡を体内に入れるのは肉体的な負担が大きかった。苦痛の少ない機器を開発しようと体を張った。「地味な研究だったが神様はどこかでみていてくれるんだと実感した」(堀内さん)

科学研究の現場で、論文の質よりも量を優先する傾向が強まったと言われて久しい。昔は日の当たらぬ研究でも温かく見守る余裕が日本の大学にはあった。北大の中垣さんは「イグ・ノーベル賞には、歴史に埋もれている過去の優れた研究を発掘する狙いもあるのではないか」とみる。

◇  ◇  ◇

製品化された研究も

イグ・ノーベル賞には実際に商品化された研究もある。2011年に滋賀医科大などの研究チームが化学賞を受賞した、わさびの刺激的なにおいを噴射する「わさび火災警報器」。補助警報装置として商品化された。聴覚障害者に音の代わりに、においで危険を知らせることができる。

ハウス食品グループ本社の「スマイルボール」は、包丁で切っても涙が出ないタマネギ。タマネギの新しい催涙成分を発見して13年の化学賞をとった同社研究員の成果が基になった。立教大学の古沢さんは「日本の研究には役に立つものが多い」と話す。

(木ノ内敏久)

[NIKKEIプラス1 2020年9月12日付]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_