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総菜・生鮮が100坪に凝縮 東京・神田のサミット

日経MJ

店内調理の総菜でオフィスワーカーのランチ需要を取り込み、充実した生鮮食品の品ぞろえで日常遣いに対応する
店内調理の総菜でオフィスワーカーのランチ需要を取り込み、充実した生鮮食品の品ぞろえで日常遣いに対応する

首都圏地盤の食品スーパーのサミットが7月10日、同社では最小となる売り場面積100坪(330平方メートル)の実験店「サミットストア神田スクエア店」を東京都内に開店した。オフィスビルや集合住宅の開発が進む神田に立地し、周辺住民の日常の買い物とオフィスのランチ需要の取り込みを図る。店舗のダウンサイズを成功させて今後の出店の選択肢を広げ、都市部での展開を加速する考えだ。

店内は2つの「顔」を意識した造りになっている。一つ目の顔は旺盛なオフィス需要を意識した総菜の充実だ。店舗が入る「神田スクエア」自体がオフィスと小売店、飲食店などがあつまる複合施設となっており、ビル内部からの入り口には総菜と飲料を陳列。オフィスワーカーが手早く購入を済ませられるようにした。

神田スクエア店は半径500メートル圏内の昼間人口が約9万7000人と多いのが特徴。そのため330平方メートルの売り場面積に対してバックヤードはわずか132平方メートルしかないが、店内厨房は削らず、強みのできたての総菜を供給する。

総菜の品ぞろえは弁当やすし、揚げ物といった定番からサラダ、デザートまで幅広い。朝食需要にも応えるため開店時間は平日で午前8時に設定している。

2つ目の顔は生鮮だ。半径1キロメートルの商圏人口は約9500世帯と少ないものの、周辺ではマンション開発も進んでいる。岡田崇取締役執行役員は「オフィス需要全面と思われがちだが、地域居住者に買い物がしたいと思ってもらえることが重要」と話す。

通りに面した入り口には店舗の外側にも彩り豊かな野菜や果物を陳列。周辺の単身世帯比率が64%でサミットの平均の49%を大きく上回ることから、キャベツや大根はカット済み、カットフルーツは小サイズを充実するなど少量・適量を意識する。鮮魚や精肉売り場では刺し身やレンジで温めてすぐに食べられる総菜など即食需要に対応した商品を充実した。

狭い売り場面積でも品ぞろえを充実するため、これまでの構造を一から見直した。大幅に削ったのはレジのスペースだ。客自身が商品をスキャンして精算するセルフレジを5台導入。商品スキャンは店員が担うセルフ精算レジは1台とし、サービスカウンターも兼ねることで省力化も進めた。

商品棚もより高さのあるものを導入。通路幅を狭めに設定して約5000品目の商品を取り扱う。900平方メートル強の他店舗の約7000品目と比較しても遜色ない日常の使い勝手を目指している。

サミットにとって、神田スクエア店の出店が持つ意味は大きい。竹野浩樹会長が「長年の課題だった」と話す都心部への今後の出店戦略を左右するためだ。JR山手線内側を中心とする都心部は出店可能な物件が限られ、競争も激しい。近年出店が増えている売り場面積1000平方メートル前後の3分の一の同店が成功すれば、出店余地は大幅に広がる。

コロナ禍では家庭調理の需要が増え充実した生鮮食品を持つスーパーの存在意義が増している。作りたての総菜や弁当もコンビニにはないスーパーの特徴だ。竹野会長は強みを最大限に詰め込んだ小型店に「新しいサミットの未来が見えると思う」と期待を込める。

(伊神賢人)

[日経MJ 2020年9月9日付]

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