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早稲田アカデミーは対面授業再開後もオンライン授業を継続

早稲田アカデミーは対面授業再開後もオンライン授業を継続

■進学塾大手の早稲田アカデミーの山本豊社長は、入社4年目で校長に抜てきされる。

学生時代にアルバイト講師を務めた経験を買われ、1991年に早稲田校(東京・新宿)の校長を任されました。

早稲田アカデミー内で最大の生徒数を抱える旗艦校ですが、安穏としてはいられませんでした。創業者で当時社長だった須野田誠さんは受験に限らず競争が大好き。本社のお膝元にある池袋校(東京・豊島)の校長と、生徒数の獲得を競わせようとしたのです。

学習塾は無形サービスで、講師など人材が全てです。良い授業を提供すれば生徒が集まりますが、そのためには優れた人材を採用して育てる必要があります。校長になるまでマネジメントとは無縁だったため、様々な本をむさぼり読んだ記憶があります。

授業の質を高めるには実践が第一です。早稲田校では毎週のようにミーティングを開いては、講師を集めて模擬授業を繰り返し、仲間同士で切磋琢磨(せっさたくま)できる雰囲気づくりを心がけました。

■塾の目玉となるカリキュラムをつくる。
やまもと・ゆたか 87年(昭62年)早大一文卒、早稲田アカデミー入社。03年取締役、19年専務。20年から現職。長野県出身。57歳

やまもと・ゆたか 87年(昭62年)早大一文卒、早稲田アカデミー入社。03年取締役、19年専務。20年から現職。長野県出身。57歳

当時の早稲田アカデミーは開校して15年余り。歴史ある大手と比べると進学実績で見劣りしていました。知名度を高めるために社長が掲げたのが、「早稲田実業中学の合格実績でナンバー1になる」こと。最寄りの校舎を率いる私が責任者を任されました。

ただしノウハウは全くありません。手探りの中で始めたのが、現在の早稲田アカデミー目玉講座である「NN(何がなんでも)志望校別コース」の前身でした。特定の学校を志望する生徒を集め、週に1度、過去の入試問題などで徹底的に対策を練るのです。加えて志望校別の模擬試験も実施しました。

講師も含めて一丸となったことで、早稲田校の生徒数は6年で4割増えました。早稲田実業の合格者数が1位になったときの高揚感は忘れられません。

■熱気ある指導は生徒に伝わる。

学習塾の運営で大切なのは教室の空気です。生徒自身が本気になれば、成績は必ず上がります。そのためには講師が熱を伝えることが重要になります。早稲田校に限らず、校舎を超えた勉強会を実施して教え方を発表し合いました。

私自身も2019年まで講師として教壇に立ち続け、志望校別コースで年始の恒例になっている特訓講座を担当しました。早稲田アカデミーの最大の商品は、授業を担当する講師です。役員になっても、商品力で他の講師に負けたくないという思いが強くありました。

あのころ……

1990年代以前は、学生運動経験者が学習塾を開くことが多かった。高学歴でも就職がうまくいかなかったためとみられる。進学実績が高まると評判を呼び、企業として上場する塾も出始めて社会認知が広がっていった。早稲田アカデミーも大手の進学塾と契約を結んで事業を拡大していった。

[日本経済新聞朝刊 2020年9月8日付]

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