むね肉レンチンで蒸し鶏 作り置きに便利な節約レシピ
管理栄養士 今泉マユ子
あっさりしていて食べやすい鶏むね肉。同じ鶏でも、もも肉などと比べ安く買えるイメージで、節約レシピでよく使われる。コンビニエンスストアに並ぶサラダチキンを試した人もいるのでは。からあげ、照り焼きなど、鶏ならもも肉を使う料理が好みという人が日本では多いかもしれない。しかしヘルシー志向は着実に広がっている。海外、なかでも欧米ではむね肉の人気が根強いと聞く。脂肪分が少なくて繊細な食感が好まれ、むしろ高級食材だそうだ。
ただ鶏むね肉は「ヘルシーだけど淡泊でパサつくんだよね」と言われがち。脂肪分が比較的多いもも肉は加熱しても縮みにくく、ジューシーでしっとりした食感を保つことができる。一方で脂肪分の少ないむね肉は加熱すると縮んで水分が流れ出やすい。そのまま煮たり焼いたりすると、パサパサになってしまう場合が多い。
パサつかないようにするためにも下ごしらえや調理法で一工夫してみよう。レシピにもよるが、例えばあらかじめ料理酒につけておく。加熱する前に片栗粉をまぶしたり、糖分を含んだ下味を付けたりする。低温でじっくり加熱してみる。水分が流れ出にくい方法を選べば、しっとりとやわらかく、ジューシーに仕上がるはずだ。
フライパンで焼く時は弱火から中火で。熱したフライパンで焼き始めるよりは肉を置いてから徐々に加熱していく方が火の通し過ぎや火入れのムラを防ぎやすい。最後はふたをして蒸し焼きにし、しっとりと仕上げていく。
鶏むね肉は作り置きにももってこい。ポリ袋の中に、フォークで穴をあけた鶏むね肉1枚(200~250グラム)、酒を大さじ2杯、塩と砂糖を小さじ1杯ずつ入れ、もみ込む。耐熱容器に移してからラップをし、電子レンジで4分ほど加熱。庫内に置いたまま5分蒸らしておけば蒸し鶏のできあがりだ。
汁ごと保存容器に入れ、少し冷めたくらいのまだ温かいうちに手でほぐしていく。これをベースに長ネギやラー油などを使ったピリ辛ダレを用意すれば、簡単によだれ鶏を味わえる。
もちろんポン酢やドレッシングをかけて食べるのもおいしいし、冷やし中華に入れたり、マヨネーズであえてサンドイッチの具にしたり、活躍の場は多い。蒸し鶏は冷凍保存もできるので、作り置きしておくと便利な1品だ。
あっさりとした味わいの中にもしっかりとうまみが感じられる鶏むね肉は家計にもやさしい。しかも高たんぱくで低脂肪。健康が気になる人におすすめだ。
1969年生まれ。管理栄養士として企業の社員食堂、病院や保育園に勤務。缶詰やレトルト食品を使った時短レシピのアレンジのほか、防災食アドバイザーとしても活躍。
[日本経済新聞夕刊2020年9月8日付]
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