清潔な枕で快適な眠り 洗面台で手洗い、形崩れ防ぐ洗濯家 中村祐一

残暑厳しく、寝苦しい夜が目立つきょうこのごろ。寝具もかなり汗を吸い込んでいるのではないだろうか。手入れを怠りがちなのが枕。カバーは頻繁に洗濯していても、枕本体はなかなかしない人が多い。寝ている間、絶えず頭や顔に接している枕には汗や皮脂の汚れが蓄積しやすい。快適に眠るためにも清潔に保っておきたい。

まずは枕に付いた洗濯表示のタグをチェックしよう。洗濯おけのマークにバツが付いている、表示がないといった場合、自宅で洗うのはリスクが高い。

例えばソバ殻や低反発のウレタンを使った枕。ソバ殻は水につけると表地に色移りするかもしれない。低反発素材は水を含むと伸びたり、脱水時にちぎれたりする。中綿がポリエステルの場合は「洗濯機OK」となっていても、洗濯中に中綿が片寄ってボコボコになることがある。使われている素材には十分注意したい。

点検を終えたらいよいよ洗濯。おすすめは洗面台などを利用した手洗いだ。汚れの状態に合わせて洗えるし、形崩れも起きにくい。まず30~40度のお湯に液体洗剤を溶かし、20分程度つけ置きする。皮脂汚れが溶けて落ちやすくなるからだ。その後で枕を両手で押したり、持ち上げたりしながらの「押し洗い」を3分程度続けよう。

それから洗濯機に入れて30秒から1分ほど脱水。次に泡や水の濁りがなくなるまで水を入れ替えながらすすぐ。終わったら最後に再びしっかり5分ほど脱水。形崩れや中綿の片寄りを防ぐためにも途中で何度か止め、形を整える作業を繰り返しながら進めてほしい。

脱水後はしっかり乾かす。干している間に中綿が片寄らないように平干しがおすすめだ。平干し用の道具はズボン用ハンガーとワイヤネットで自作するのもいい。

枕の手入れに市販の除菌消臭スプレーを使う人もいるだろう。なかには揮発性のない成分が含まれるものがある。使い続けると枕の表面に成分が蓄積し、生地がかたくなるかもしれない。除菌成分は肌への刺激や万が一吸い込んだときの呼吸器の影響などにも注意しよう。枕は寝ている間、顔に密着するアイテムなので、やみくもに吹き付けないよう気を付けたい。

まずは表示を確認
洗面台を利用して手洗い

平干し、ハンガーとワイヤネットを使う手も
カバーにもアイロンで寝心地よく

除菌スプレーの代わりに消毒用エタノールを使い、枕の表面をタオルなどで拭き洗いする方法もある。エタノールは揮発性が高く、素材に余分な成分が残りにくくて使いやすい。ただ樹脂などは溶けてしまうので避けたい。

枕カバーは普段着と一緒に洗って大丈夫。ニオイや汚れが気になればつけ置き洗いしよう。アイロンをかければ寝心地もぐっとよくなる。交換はこまめに。毎日が理想だが、そこまでは難しいとしても週に1度を心がけよう。きれいな枕でぐっすり眠ってほしい。

中村祐一(なかむら・ゆういち)
1984年生まれ。クリーニング会社「芳洗舎」(長野県伊那市)3代目。一般家庭にプロの洗濯ノウハウを伝える「洗濯家」として活動。「洗濯王子」の愛称でメディア出演も。

[日本経済新聞夕刊2020年9月1日付]

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