トイレ掃除は上から下 男性「座りション」で飛沫防ぐ
新型コロナウイルス対策による外出自粛の影響で、家のトイレを使う機会が増えた。忘れがちな掃除のポイントと汚れをどう防ぐかについて、家事ジャーナリストの山田亮さんが解説する。
ここ数カ月間で家のトイレが汚れやすくなったと感じる。夏は湿度が上がるので、臭いが気になる人も多いかもしれない。
男性が立って用を足せば、飛沫はかなり広範囲に散る。その飛沫は便器にたまっていた水ではない。表面張力の作用で多くが上から飛び込んできた液体、つまり尿である。こうして臭いの大元がトイレに拡散する。
飛沫は壁や床に加え、たまったほこりやちりにもつく。そのまま放置すると雑菌繁殖の温床になる。トイレ掃除というと、便器を思い浮かべる人が多いかもしれない。だが、ほこりやちりを取り除き、飛沫をきれいにすることも重要だと意識してもらいたい。
養生テープや 抗菌壁材活用
トイレも家全体の掃除と基本は同じだ。ほこりやちりは上から下へ落ちるので、掃除は壁や天井から始めると二度手間にならずにすむ。
換気扇が天井についているトイレでは、まずそこから掃除するといいだろう。フィルターをきれいにすることは特に重要だ。換気効率が上がれば、臭いは消えやすい。照明も多くが天井についている。軽くふくだけで明るさが変わり、効果を体感しやすい。
次は壁だ。便器からの距離にもよるが、下の方は飛沫が飛んでいるとみて間違いない。高いところからモップ式のウエットシートでふき取るといいだろう。トイレを使うたびに掃除するのは難しくても、できるだけこまめにふくことをおすすめしたい。長期間そのままにしておくと臭いや黄ばみは取れなくなり、最終的にはリフォーム以外に手立てがなくなってしまう。
近年は消臭効果や抗菌機能がある壁材が登場している。自分ではりつけられる素材が100円ショップなどでも売られている。それらを貼って定期的に交換すれば、清潔を保ちやすい。
壁がきれいになったら、床に移ろう。トイレでもほこりなどのゴミは出る。衣類を脱ぎ着するので繊維クズが出るし、皮膚のかけらや毛が落ちる。トイレットペーパーの紙くずもある。こうしたゴミは換気や人の出入りによる空気の流れに沿って集まり、湿気もたまりがち。掃除機で吸い取るのが手っ取り早い。
筆者はトイレで掃除機を使うとき、100円ショップで買ったノズルをトイレ専用にしている。掃除機の持ち運びが面倒なら、トイレットペーパーでほこりを集め、そのままトイレに流してもいい。
床と便器の境目の掃除には注意したい。真下でも飛沫が飛んでいる可能性がある。完全に汚れを取るのはかなり難しいので、養生テープを貼るのも一つの解決策だ。汚れたらはがして交換するだけですむ。
棚に飾った置物や壁に掛けたカレンダーなどの小物にも目を向けたい。こうしたものにもほこりは積もるし、飛沫がついている可能性がある。消臭剤にほこりが積もって飛沫がかかることで、実は臭いの元になっているかもしれないのだ。こうしたものも定期的にふいて、ほこりを取り除こう。
座って用足し 清潔に保とう
そもそも飛沫の予防策はないのだろうか。実は、男性が座って小用を足せば、臭いの多くは解消する。特に背の高い男性が「立ちション」から「座りション」に変わったときの効果は絶大だ。尿の射出位置が高いと、尿は勢いよく便器に接触する。すると反発する飛沫の量は多くなり、飛び散る距離も長くなる。
最近では男性に座りションをすすめるステッカーなども手に入るようになった。お客さんに「座って用を足してください」とはなかなかいい出しにくい。だが、トイレのドアや便座にステッカーを貼っておけば、それとなくアピールできる。
次に使う人が気持ちよく使えるように、という姿勢が大切だ。男性が小用を足すときにどんな姿勢を取るか聞いた調査をいくつか見ると、男性の座りション率はおおむね4割前後である。これまで何気なく立ちションしていた男性には、トイレを清潔に保つため、「小便小僧(こぞう)」風から「考える人」風に小用スタイルを変えることを検討してみてほしい。
(家事ジャーナリスト 山田 亮)
[NIKKEIプラス1 2020年8月15日付]
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