在宅勤務の対応で選ばれる会社に コロナで変わる常識味の素 西井孝明社長

――コロナが収束した後、出勤の体制は、どうなるでしょう。

「2割程度の出勤でもできるのではないでしょうか。これからはオフィスの設計も変わってくると思います。今は当社の本社スペースのうち8割程度が、社員が座れるようにフリーアドレスのデスクを確保しています。これを極力減らして、残りは共有スペースにできます。お客様と充実した商談ができる場所や、リラックスしてミーティングなどができる場所を共有するイメージです」

「来年には5Gが普及して通信環境ももっと良くなります。リアリティーのある映像で外とやりとりできれば、オフィスに来る必要は薄れます。こうした環境を整えることで、働き方改革を進められると思っています」

――20年3月期を最終年度とした中期経営計画では当初の目標に比べて利益が伸び悩みました。

「事業利益は昨年で992億円で最高益でしたが、伸びは鈍化してきました。日本の冷凍食品やコーヒー、調味料が予定に対して未達に終わりました。海外の調味料や加工食品も下回りました」

「アセットライト(資産縮小)化するところは、はっきりと決めています。動物栄養事業は縮小対象です。海外のうま味調味料も、BtoBは収益性が低いです。海外冷食は米国に非重点エリアがあり、これもアセットライトを考えています」

おいしさと健康、新興国でも需要

――一方で「食と健康」を軸に「重点事業」に経営資源を集中させていく戦略ですね。海外でも付加価値の高い商品に力を入れていきますか。

「海外成長を支えていたのは新興国の人口ボーナスでした。ところがそれも緩やかになってきました。その間にミドルクラス、中産階級の人が増えました。1年に1回家族で海外旅行に行くような人たちです。タイやインドネシアもベトナムも増えています」

「ほんだし」は発売50周年を迎えた。配合するかつお節などを改良し、パッケージも刷新した

「日本と同様に、おいしいものやヘルシーなものが求められるようになっています。アミノ酸は我々の独自性がある分野です。冷凍食品やスープなど市場がないと思われていたところでチャンスが出てくるでしょう」

――アミノ酸を補給する栄養補助食品「アミノバイタル」を昨年から越境ECの仕組みで中国で売り始めましたね。

「日本は高齢化がとまらず既存の食品マーケットはどんどんレッドオーシャン化して利益が出にくくなります。その一方で日本でつくられているものは、品質、おいしさ、安心安全といった高い価値があります。それを輸出していけばいいのでは、という考えです。越境ECだけでなく、中国やアジア各地に販売できるような体制を今年4月つくり、輸出に力をいれていこうと思います」

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