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コロナの後遺症 入院中から早期リハビリで予防

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NIKKEI STYLE

新型コロナウイルス感染症の重症患者に、入院中からリハビリを進める病院が増えてきた。早期からのリハビリが社会復帰を早めたり、肺機能障害などの合併症や、息切れなどの後遺症の予防・軽減に効果があることが期待されている。ただ、患者の容体が安定しない時期のリハビリには訓練を積んだスタッフが必要で、医療従事者の感染リスク懸念もある。サポート体制の整備も急務だ。

3月に新型コロナに感染した元プロ野球監督で評論家の梨田昌孝さん(67)は、リハビリで元気を取り戻した一人だ。2週間以上いた集中治療室(ICU)を出た後は筋力が大幅に落ち、ペットボトルの蓋を開けたり箸をもったりするのも難しかった。腰がすわらず、声も出しにくかった。

PCR検査で陰性になる前に、ベッドから立つ練習などを始めた。当初は想像以上につらく、不安になったという。だが、「(医師らの勧めで)リハビリを始めてよかった」と振り返る。退院後もリハビリを続け、今では入院前とほぼ同じ状態まで回復したと感じているという。

重度の肺炎などの早期リハビリは2009年、英医学誌「ランセット」に掲載された論文などをきっかけに注目を集めた。ICUで早くリハビリを始めた患者は、退院時の回復度が大きく、せん妄や人工呼吸器の装着期間が短くなったという。その後、早期回復による医療費削減効果を示す報告も出てきた。新型コロナでも、世界保健機関(WHO)などがICU治療時から退院後までのリハビリを勧めている。

集中治療室に入った患者のダメージは大きい。入院中に筋力が大きく落ちる。日本集中治療医学会理事長の西田修・藤田医科大主任教授は「特に重症肺炎や敗血症の患者は、筋肉の破壊やカロリー消費が大幅に増える」と説明する。退院後に認知機能の低下などが続くこともある。

体力や臓器の機能が極端に落ちると回復するのは容易ではないため、「容体が安定しない時期からでも栄養療法や運動療法を組み合わせたリハビリが不可欠」(西田主任教授)という。

肺炎などのリハビリの基本は、運動療法だ。肺への空気の取り込みなどを助けるために、理学療法士が協力して患者の体位を変えるだけでなく、可能な限り座る姿勢や立つ練習を取り入れていく。様子をみながら、歩行の訓練や「エルゴメーター」などを使ったペダル運動をして筋力を維持させる。

日本急性期リハビリテーション医学会理事長の田島文博・和歌山県立医科大教授は「(運動療法は)筋力だけでなく呼吸機能を高める効果もある」と話す。呼吸に使う筋肉の強化のほか、血中の二酸化炭素を増やし正常な呼吸を保ちやすい。肺を動かし、たんを出して呼吸器の合併症を防ぐなどの効果もある。回復していけば、ストレッチや筋力トレーニングなどに進む。

実際に、新型コロナでもICUにいる間からのリハビリが始まっている。神戸市立医療センター中央市民病院では、3月の新型コロナ患者受け入れ当初、感染防護具などが足りず早期のリハビリ治療を見送った。合併症が多く出たり、入院が長引いたりする懸念が浮上、ICUにいるときからのリハビリ態勢を整えたという。同病院の理学療法士の岩田健太郎氏は「入院初日からリハビリを始めた患者の多くは合併症が少なく回復も早かった」と話す。

新型コロナ肺炎のリハビリでは、医療従事者への感染対策は必須だ。リハビリは、理学療法士や看護師などが患者の体や手足を支えながら進める。同病院では、1回のリハビリに関わる理学療法士などを増やし、患者の体を正面から支えるのを避けるなどして感染リスクを抑えている。

遠隔操作によるリハビリの試みも始まっている。東京医科歯科大学病院では、重症からの回復期にある人や、軽症や中等症の患者を対象に、タブレット端末などを使って理学療法士などが患者に運動の仕方などを指導する「リモートリハビリテーション」を始めた。画面を通して指示できるため、病室に入るスタッフを少なくして感染リスクを減らす。同病院の酒井朋子医師は「今後用途が広がれば、退院後のリハビリや、ホテルや自宅で療養している感染者の運動指導にも役立つ可能性がある」と話す。

◇  ◇  ◇

急性期病院 理学療法士少なく

早期リハビリの体制はまだ十分ではない。先行する米国でもICU患者などへの運動療法の実施率は2割程度だ。日本理学療法士協会の森本栄副会長は「(国内で)新型コロナ患者にICU入室時からリハビリをできる病院は限られている」と話す。同会の5月の調査で、新型コロナ患者に理学療法を実施したのは290施設中、約3割だった。

要因の一つは人手不足だ。同会によると、国内の医療機関で働く理学療法士の半数近くは、回復期の患者のリハビリを担っている。医療機関などの理学療法部門の責任者を対象にした同会の16年の調査によると、人手不足を感じると答えたのは回復期の医療機関で約3割だった一方、高度急性期の機関では約7割にのぼった。

「公立の病院では制度上、急性期に向けた理学療法士を多く配置できない」(森本副会長)という事情がある。また肺炎などで早期リハビリの効果が実証されてから約10年と日が浅く、「理学療法士を配置する重要性が広く理解されていない」(理学療法士の岩田氏)。急性期の入院時からリハビリができる体制づくりも必要といえそうだ。

(スレヴィン大浜華)

[日本経済新聞朝刊2020年8月10日付]

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