タネは台所にも寝室にも 「おうち俳句」の楽しみ方
ペン、メモ帳、歳時記の「三種の神器」
新型コロナウイルスの感染拡大で外出がままならない人も多い。そんな中、家の中で句材(俳句の材料)を探し、句をつくる「おうち俳句」が注目を集めている。挑戦してみた。
記者は俳句の初心者。句材探しなど難しそうに感じたが、格好の手引書を見つけた。テレビの俳句バラエティー番組で人気の俳人、夏井いつきさんの著書「夏井いつきのおウチde俳句」(朝日出版社)。同書を参考に、句をつくってみることにした。
同書で夏井さんが句材探しの場所として挙げているのは、リビング、台所、寝室、玄関、風呂、トイレの6カ所。視覚、味覚、触覚、聴覚、嗅覚、第六感を駆使して、俳句のタネを見つける。
早速、ペン、メモ帳、歳時記の「三種の神器」を持って、リビングへ。リビングというと団欒(だんらん)という言葉を思い浮かべがち。だが、自分の目や耳などを使わないでイメージだけでつくると、ありきたりの句になってしまうという。なるほど。
勧めに沿い、見回して目に留まったものを書き留める。五・七・五の上五と中七の十二音でものを描写し、下五に五音の季語を入ればいい。
メモした単語は、テーブル、ソファ、テレビ、エアコン、カーペット……。これらをどう描写しようか?
考えあぐねているとき、目に留まったのが飼い猫、スコティッシュフォールドの「はる(メス、5歳)」。ほどよく冷房の利いた部屋で気持ちよさげにお昼寝だ。歳時記をめくると、静かな夏の昼下がりを言う「日の盛」という季語があった。これこれ。
リビングでまどろむ猫や日の盛
という駄句をつくった。
次にキッチンへ移動する。台所は食材という名の季語が集まるところだ。
気をつけたいのは、食材が季語になっているかどうか。夏の定番と思われがちな西瓜(すいか)は秋の季語だ。