夏バテに水切りヨーグルト 前菜やマヨネーズ代わりに
ヨーグルトの水気を抜くと、さわやかな酸味はそのままに濃厚な味わいとなる。夏バテ防止に活用したい水切りヨーグルトの作り方と使い方を教えてもらった。
ヨーグルトは水切りして濃縮することで、たんぱく質と脂肪の割合が高まる。「ヨーグルト本来の酸味を残しつつ、まろやかでコクのあるおいしさが味わえる」。明治の発酵開発研究部1G長、野路久展さんは水切りヨーグルトについてこう説明する。
料理おいしく 低カロリーに
朝食やおやつとしてヨーグルトを食べる人が多いが、食欲が落ちる夏の料理にも使いたい。水切りすることで、使い方の幅はぐっと広がる。管理栄養士で料理研究家の牧野直子さんは、生クリームやクリームチーズ、マヨネーズなどの代わりに水切りヨーグルトを使うという。
100gあたりの一般的なエネルギーを見ると、生クリームは433キロカロリー、クリームチーズは346キロカロリー。マヨネーズは702キロカロリー前後になる。それに対し、一晩水切りしたプレーンヨーグルトは約120キロカロリーにとどまり、「料理をおいしくカロリーダウンできる」(牧野さん)。チーズや生クリームに比べると安価ですむことが多いのも魅力だ。
まず、材料と道具の準備から始めよう。ヨーグルトは砂糖や果肉の入っていないプレーンタイプを選ぶといい。「脂肪分はコクになるので、低脂肪の場合はあっさりした味わいになる」(牧野さん)。料理や好みで選びたい。
道具で必要なのはボウルとザル、キッチンペーパーだ。ボウルにはヨーグルトの水分をためる。上に載せるザルが水分につからないよう、ボウルはザルよりやや小さく、深めのものを選ぶといい。
必要なものがそろったら、ボウルにザルを載せよう。ザルの上にはキッチンペーパーを敷く。そこにヨーグルトを入れ、ラップをかけて冷蔵庫に保管する。そうするとヨーグルトから水分が抜けていく。少量を水切りするときは、コーヒーフィルターとドリッパーを使うと手軽だ。
水切りする時間によって、かたさも味わいも異なってくる。3時間程度なら、ヨーグルトは3分の2くらいの分量に減る。サワークリームのような、とろっとした感じが残る状態だ。8~12時間程度置けば約半分の分量になり、クリームチーズのようなしっかりとしたかたさになる。短時間で水切りしたいときは、目の詰まった布巾や厚手のキッチンペーパーに包んでしぼるか、重しを載せるといい。
ゆるめに水切りしたものはソースやドレッシングに使いやすい。「かためのものはクリームチーズやサワークリームの代わりにしたり、コクを出したい料理に使ったりするのがおすすめ」と牧野さん。
そのまま食べてもおいしい。オリーブオイルと塩、ハチミツなどをかけると、ちょっとした前菜になる。マヨネーズの代わりにしてサンドイッチにはさんだり、あえ衣に使ったり。しょうゆやみそなど和食の調味料とよく合い、煮込みやディップなどの料理にも活躍する。
デザートとしても出番は多い。ホットケーキに添えれば、生クリーム代わりになる。レアチーズケーキやティラミス風に使うのも一案だ。
栄養たっぷり ホエーも活用
水切りした際に出る黄色みを帯びた水分は、ホエーと呼ばれる乳清だ。こちらも残さず使い切りたい。ミネラルやビタミンB2などの栄養成分があり、やわらかな酸味が特徴だ。「スムージーや冷製スープに入れられるほか、ドレッシングやピクルス液を作るときに酢の代わりにできる」と牧野さん。煮込み料理に加えると肉の臭みをとり、肉をやわらかくする効果もある。
ヨーグルトはたんぱく質が豊富だ。「乳たんぱく質には筋肉の維持、増加のカギとなるアミノ酸BCAAが多く含まれている」(野路さん)。ヨーグルトの摂取量の目安は1日あたり100~200g前後といわれている。そのまま食べるだけでは飽きてしまった場合も、水切りすれば食事に取り入れやすい。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌には整腸作用があることも知られている。加熱や冷凍で乳酸菌が弱まったり死滅したりすることもあるが、死んでも腸内では善玉菌の生育に役立つため無駄にはならない。栄養豊富で使い勝手がいい水切りヨーグルトを試し、夏を元気に過ごしたい。
(ライター 土井 ゆう子)
[NIKKEIプラス1 2020年8月8日付]
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