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緑内障、早期発見なら10分で手術 目に1ミリの管入れ

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NIKKEI STYLE

視野が狭くなる緑内障の治療で、目への負担が少ない低侵襲緑内障手術と呼ばれる手法が広がってきた。そのうちの一つは、アイステントという1ミリメートルほどの微少な管を目の中に埋め込む。白内障の手術と同時にできるため、高齢者などを中心に負担が少ない治療法として広がりそうだ。

「視力が改善し明るくなった。目薬の使用も減らせて快適だ」

東京女子医科大学でアイステントを使った手術を受けた70歳代の女性患者は、術後の経過を診てもらいにこやかに語った。担当した須藤史子教授は「10分ほどで済む手軽な手術のため、提案すると施術を希望する患者は多い」と話す。

緑内障は目に栄養を与える体液である房水の排出がうまくいかなくなることで起こる。目の毛様体で作られる房水は、角膜・水晶体・硝子体など血管のない組織に栄養を与える。房水は静脈に流れ出るが、出口の目詰まりなどで流れに障害が起こると、眼球にかかる圧力(眼圧)が上昇する。眼圧が高まると視神経が圧迫されて視野がだんだんと狭まり、緑内障となる。

眼圧は21ミリHgを超えると高いとされるが、10~21ミリHgの正常値でも発症することが最近分かってきた。日本の緑内障患者は500万人以上と推定され、失明の原因としては最も多い。一度失った視野や視力が元に戻ることはないため早期の発見が最も重要。眼圧を下げることにより症状の進行を遅らせることが目標となる。

従来、房水の排出路を一部切除し、別の排出路を作る手術などが実施されている。こうした手術は効果も高いが、傷が大きく縫合も必要で「炎症などが起きるリスクもあり、術後の管理が難しいこともある」(東京慈恵会医科大学の中野匡主任教授)。

手術のこうしたデメリットを解決し得る低侵襲手術の一つが、アイステント術だ。チタン製の微少な管を房水の排出路に埋め込んで新たなバイパスを作る。米国や欧州では2012年、日本では16年に承認され、2~3年前から施術できる病院が増えてきた。

実際の手術では部分麻酔をして、角膜を2ミリメートル程度切開し、その穴からアイステントを入れる。傷口が小さく縫合が必要ないため、体への負担も少ない。1日程度の入院が一般的だが、病院によっては日帰りもできる。

効果は、眼圧が標準の治療法である点眼薬1本分の2~3ミリHg程度下がる。点眼薬は生涯使い続ける必要があるといわれているが、回数を減らすことができたり、ささなくてよくなったりする可能性がある。

いくつか注意すべきポイントもある。まずアイステントを使った手術は、白内障の手術と同時に施術されなければ健康保険の適用ができない。そもそも米国で白内障手術と同時に施術することを条件に承認されたためだ。手術が受けられるのは実質的に、白内障を患う高齢者がほとんどだ。

またアイステントをはじめとする低侵襲手術は、眼圧を下げる効果がそれほど高くないため「施術の対象となるのは比較的症状の軽い初期から中期の患者に限られる」(東京大学の相原一教授)という。重症の患者は、より効果の高い従来の手術などを検討する必要がある。

アイステントの挿入は、緑内障や白内障の手術を一定数以上経験し、専門の講習会を受講した医師が施術できる。低侵襲手術にはアイステント以外にも、房水が排出されやすくする手術が3種類あり、それぞれ一長一短がある。症状などに応じて主治医と相談することが大切だ。

緑内障は自覚症状が少なく、異変に気付いて来院した時には症状が進んでしまっていることも多い。アイステントなどの低侵襲手術は手軽に受けられる利点があるが、症状が比較的軽いことが前提となる。早期発見が重要だ。40歳を過ぎたら、定期的に眼科の診断を受けることも有効だろう。

埋め込み容易な新型、秋以降に国内でも

日本眼科学会はアイステントの使用ガイドラインである「白内障手術併用眼内ドレーン使用要件等基準」を設けている。5月に公表された改訂版(第2版)では、2019年10月に承認されたばかりの新型「アイステントインジェクト」の使用基準が示された。

新型は小さな穴が開いた弾丸状のデバイスで、大きさは旧型のアイステントよりさらに小さい3分の1ミリメートル。専用の機器を使って房水の排出路に2つ撃ち込む。埋め込む操作が必要なアイステントよりも手術が容易だという。今後臨床研究などで検証が必要だが、アイステントより眼圧を下げる効果があるという報告も一部あるという。

使用基準はアイステントと同じで、一定数の手術経験のある医師しか施術できない点や、白内障の手術と同時でないと健康保険が適用できない点も変わらない。米国では18年、欧州ではアイステントと同じ12年から承認されている。

国内で新型が使えるのは20年秋以降となる見通しだ。施術できる病院が広がっていけば患者の選択肢が増えそうだ。

(三隅勇気)

[日本経済新聞朝刊2020年7月20日付]

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