「セブン」が肉料理とワインの専門店 品川・武蔵小山
レストラン「デニーズ」を運営するセブン&アイ・フードシステムズ(東京・千代田)は肉料理とワインの専門業態「太陽のグリル」を都内に開いた。メニューはステーキやハンバーグに加えて一品料理も充実。スペイン風居酒屋のような雰囲気を醸し出し、来店客がゆっくりすごせるような空間を目指している。
太陽のグリルは再開発が進む東急目黒線の武蔵小山駅(東京・品川)前に店舗をかまえる。太陽のグリルとしては栃木県佐野市に次いで2店舗目となるが、肉料理やワインを中心にそろえたのは今回の店舗が初めてだという。
店内の広さは235平方メートル。約70席を備えるが、現在は新型コロナウイルスの感染予防策の一環で収容人数を50人以内に抑えている。席の間隔が空いており、思いがけず開放的な雰囲気を演出している。
メニューは牛肉や豚肉のステーキやハンバーグを中心にそろえ、価格は1500円前後が大半を占める。「イベリコ豚ベーコンのグリル」はかむと脂のうまみが口の中いっぱいに広がる絶品だ。ワインは赤や白、スパークリングなど10種類をボトルで提供する。ナッツやオリーブなどサイドメニューもそろえ、「ちょい飲み」需要に応える。
他の酒類へのこだわりも強い。例えば、レモンサワーはノーマルのものやシチリア産レモンを使ったもの、塩味といった具合に3種類を用意した。同じレモンサワーでも風味が異なり、飲み比べてみても楽しい。
太陽のグリルが見込む客層は家族連れや単身者だ。ワインが飲めるおしゃれな店は数多くあるが、大半は会社からの帰宅途中にふらりと立ち寄れる繁華街に立地する。セブン&アイ・フードシステムズは「自宅近くでも気軽に飲みたいという需要は一定程度ある」として、太陽のグリルはあえて居住地区を攻める。
客単価はデニーズの倍近い1900円とセブン&アイ・フードシステムズの業態としては高級業態となる。店舗の周辺にはタワーマンションが林立し、比較的に富裕層の需要を見込んでいるが、コロナの影響で消費の減退が懸念されるなか、太陽のグリルは今後どう収益を上げていくのか。
ポイントとなるのがメニューの絞り込みだ。ファミレスで定番のパスタやオムライスといった商品は扱わず、厨房は肉用グリル機器などで足りる。従業員の教育にかかる時間もデニーズの7割程度に短縮でき、損益分岐点はデニーズの3分の2まで下げられるという。
質の高い肉やワインを売り物に他店との差異化を図るとともに、コストをいかに抑えるか。デニーズが主力のセブン&アイ・フードシステムズにとって、太陽のグリルは今後の出店戦略を占う試金石となる。
(井上航介)
[日経MJ 2020年7月15日付]
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