おすすめ洋風ナス料理 皮付きのままレンチン10分
管理栄養士 今泉マユ子
夏野菜として知られるナス。ある料理サイトで検索された言葉のベスト10を見せてもらったことがあるが、ナスは年間を通じてランクイン。なかでも6~9月は1位だった。ナスの料理を知りたい方がこれほど多いのかと驚いた。
ナスは意外と種類が多い。日本ではほとんど黒紫色のイメージだが、白や緑、しま模様のものもある。形だって丸型や長型などいろいろだ。イタリア野菜の「フィレンツェなす」はトロッとした食感や上品な甘さが売り。トルコやタイでもナス料理の種類は多く、人気の食材だと聞く。
日本のナスをみても、水分を多く含むもの、油との相性がいいもの、甘いものなど品種によって特徴は様々。例えば水ナスは水分を多く含み、ほんのりとした甘みを感じる。生のまま食べられて、ぬか漬け、浅漬け、塩もみなどにすると絶品。サラダや酢の物、あえ物、サラダにしてもおいしい。
しかし水ナスなど一部の品種を除けば、アクが強いナスは生食に向かないと言われている。だからこそひと手間加えて味わいたい。煮る、焼く、炒める、揚げる。カレーに入れても、パスタやピザ、みそ汁にしてもおいしい。
最もシンプルにナス料理と言えば、やはり焼きナスだろう。皮付きのままアルミホイルで包み、トースターで20分焼くだけ。かつお節とおろしショウガじょうゆで食べるのが至福の時だ。他の夏野菜と一緒にグリルして、塩、コショウで食べるのもいい。
少し手をかけるなら、だしをたっぷり含んだ煮びたしや揚げびたし。焼いて田楽肉みそをたっぷりのせるのも、トマトと一緒にコトコト煮込むのもおいしい。トロトロに煮えたナスの味がたまらないという人も多いはずだ。油との相性のよさを生かし、天ぷらや素揚げで楽しむのもいい。マーボーナスやみそ炒め、ベーコンと一緒に油で炒めるのもオススメだ。
本当ならナスは切らずにかたまりのまま調理したい。じっくり火を通せば、うまみ成分のグアニル酸が増えるとされているから。ただ調理時間が長くなるので、今回レシピを紹介する洋風レンチンナスなどではあらかじめ切り、電子レンジを使って仕上げてみた。
ナスを選ぶときにはヘタの切り口が新しく、ガクについているトゲが鋭くとがっているものにしよう。皮の色が濃く、表面がなめらかで傷がなく、ツヤやハリがあるのもポイント。水分が多い野菜なので、持ってみてしっかり重みがあるとなおよい。暑い夏はおいしいナス料理で乗り切ろう。
1969年生まれ。管理栄養士として企業の社員食堂、病院や保育園に勤務。缶詰やレトルト食品を使った時短レシピのアレンジのほか、防災食アドバイザーとしても活躍。
[日本経済新聞夕刊2020年7月14日付]
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