自宅で上手に白髪染め 合う色は「耳上あたりの髪色」
生え際にチラチラと目立つ白髪。新型コロナウイルスの影響で美容院に行けず、ケアに困った人も多いようだ。市販のカラー剤を使い、上手に染める方法を専門家に聞いた。
東京都在住の60代女性は外出自粛の期間中、自宅で初めて白髪を染めた。「白髪は隠しようがないし切実。ただ、色選びや準備の仕方がわからなくて戸惑った」と話す。
東京・表参道の美容院、SUNVALLEY代表の渋谷謙太郎さんは、美容院へ行けないときのケアとして、頭頂部と顔周りの部分染めから始めることをすすめる。「髪の毛が動きやすい頭頂部と、顔の周りを染めるだけで随分目立たなくなる。初心者でも挑戦しやすい」
部分染め向けに クリームタイプ
白髪染めには主に泡とクリームタイプの2種類がある。花王ヘアケア研究所室長の野尻昌良さんが部分染めにすすめるのは、クリームタイプだ。「狙った部分を染められ、残ったカラー剤は次の機会に取っておける」という。
さまざまな色合いのカラー剤のなかから、どうやって合う色を選べばいいか。野尻さんによると、基準は「自分の耳上あたりの髪色」。渋谷さんは「家で染めるときは若干明るめの色を選ぶと、次に美容院へ行ったときに修正しやすい」とアドバイスする。
準備は念入りに進めたい。カラー剤は、アレルギーやかぶれを引き起こす場合がある。事前のパッチテストは必須だ。乾いた髪は生え際にかからないよう、後ろに向けてクシでとかしておく。「カラー剤を塗るときに引っかかると髪にダメージを与えるので、からまりがない状態に」と野尻さん。
根元をしっかり染めたいときは、ブロッキングがおすすめだ。髪を上下左右に分け、ゴムで束ねる。「このひと手間をかけることでムラなく塗りやすくなる」(渋谷さん)
色の付着には気をつけたい。衣服や皮膚にカラー剤がつくと染まってしまい、なかなか取れなくなる。服は汚れてもかまわない着古しを用意するといい。前開きの服が脱ぎやすくて便利だ。
皮膚の保護にも注意が必要だ。首にタオルを巻き、その上からケープを掛ける。耳を守るキャップもつける。ケープや耳用キャップは100円ショップなどでも手に入る。ケープは大きめのゴミ袋に穴を開けても代用可能だ。
次に、額や首、耳など髪の生え際に沿って、ハンドクリームやワセリンなどを塗っていく。油分がカラー剤をはじき、皮膚への着色を避けることができる。髪にクリームが付くとその部分が染まりにくくなるため、生え際の少し手前に塗るのがポイントだ。野尻さんは「耳の後ろは塗り忘れしやすいので注意を」と話す。
手袋をはめたら、カラー剤を塗り始めよう。うまく扱うコツは、土壁を塗る感覚で、髪の根元にクリームを置くようにしてなじませること。失敗しがちなのは、くしで必要以上にカラー剤を延ばしているケース。野尻さんは「根元に塗ったカラー剤が、染めなくていい部分に移動してしまうので、根元の染まりが悪くなる」と指摘する。
カラー剤が皮膚に付いてしまった場合は、洗顔料やクレンジング剤で落とす。「時間がたつと落ちにくくなるので見つけたら早めに対処が必要」(野尻さん)だ。
塗る作業が終わったら、周りにカラー剤が飛んでいないかチェックする。壁や床に付いたものはなるべく早く拭き取ろう。素材によっては落とすのが難しくなるので、タオルや新聞紙を敷くなどし、なるべく汚さないようにする。
傷み防止のため しっかりと洗う
カラー剤が髪になじんだら浴室で洗い流すが、このとき色が飛び散りやすい。「事前に浴室の壁に水をかけておくと、カラー剤を落としやすくなる」(野尻さん)
頭皮のトラブルや髪の傷みにつながらないよう、よく洗い流すことが重要だ。渋谷さんは「特に、えりあしや耳の後ろは残りやすい。シャンプーをしっかりと泡立てて洗ってほしい」と話す。シャンプーの後はトリートメントも忘れずに。傷み防止に加え、色持ちのアップにもつながる。
髪の色はその人の印象に大きく影響する。野尻さんによると「髪は顔の額縁」。普段白髪染めをしている人にとって、目立つ白髪はストレスにもなりかねない。セルフケアを取り入れて、不自由な状況を上手に乗り切りたい。
(ライター 李 香)
[NIKKEIプラス1 2020年7月11日付]
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