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和牛焼き肉、手ごろに食べ放題 6次産業の知見で盛況

日経MJ

店内は回転すし店のような趣だ
店内は回転すし店のような趣だ

驚くような価格設定の焼き肉食べ放題のお店が登場し、外食業界に激震が走っている。JR蒲田駅から徒歩5分に、5月16日オープンした「幸せの焼肉食べ放題 かみむら牧場 京急蒲田第一京浜側道店」だ。ワタミと鹿児島の畜産企業のカミチクホールディングスなどが出資したワタミカミチク(東京・大田)が運営する。

かみむら牧場にはアラカルトメニューもあるが、ウリは、高級食材の和牛が手ごろな価格で食べ放題できること。米国産牛が中心の「ジャストミートコース2980円(税別)」、鹿児島で肥育した南国黒牛を注文できる「南国黒牛コース3580円(同)」、ブランド和牛の薩摩牛のA4ランクの入った「和牛マニアコース3980円(同)」の3種類をそろえている。

筆者はジャストと和牛マニアに挑戦したが、とにかくコスパの良さに驚く。適度にサシが入った薩摩牛のロースやカルビは、甘辛い割下に絡ませ焼きしゃぶやおろしポン酢で堪能。適度な厚みがあるが、軟らかくとろけるようだ。

どのコースも米国産の骨付きLボーンステーキや、国産豚「南国スイート」の骨付きロースのトマホークステーキを注文できる。

一番安いコースでも、骨付きステーキが食べ放題なのだ。Lボーンは赤身のうま味があり、適度な歯ごたえで食べ飽きない。むしろ赤身好きには、これで十分満足できる。トマホークは、脂身に甘味があり満足度が高い。

2段のレーンで食材を席まで運ぶ

焼き肉の楽しさを盛り上げるのが肉好きの食欲をくすぐるサラダバーの品ぞろえだ。サンチュやキムチなど定番に加え、原価率の高いパクチーやエゴマの葉までそろえる。こうした野菜でサムギョプサルのように肉を包んで食べれば食べ放題の罪悪感もどこかへ吹き飛んでしまう。

原価率を考えると継続できるのか気になるが、ワタミカミチクの新町洋忠代表取締役は「食材の原価率だけを見れば5割近くになりますが、そのぶん店舗の設計を工夫して人件費を抑えて収支を合わせています」と話す。生産性を上げるためにタッチパネルによる注文や、回転寿司などで目にする“特急レーン”で商品を運ぶ。

かみむら牧場は同業他社をつぶさにベンチマークしていると感じた。

例えば、カウンター席には間仕切りされたお一人様コーナーがあり、人気店「焼肉ライク」のように利用できる。

オーダー式の焼き肉食べ放題の店舗は他にもあるが、そうした業態の一部ではサラダバーを置かないので、野菜を存分に楽しめないことが少なくない。

石焼きビビンバなどご飯物やサイドメニューの充実ぶりも目を見張る。牧場直送のアイスクリームも食べ放題だ。連日盛況で、週末には午後5時ごろに閉店までの予約が埋まる。

ワタミカミチクは国内外で、かみむら牧場をフランチャイズチェーン(FC)展開する予定だ。FC1号店として、6月23日に「かみむら牧場 守口南寺方店」(大阪府守口市)がオープンし、こちらも連日盛況だ。台湾とベトナムへの出店も決まっている。

和牛食べ放題の実現には6次化を知り尽くしたカミチクホールディングスが欠かせないと筆者は感じている。

次回で実現に至る背景をお伝えする。

(フードジャーナリスト 鈴木桂水)

鈴木桂水(すずき・けいすい)
フードジャーナリスト・食材プロデューサー。美味しいお店から繁盛店まで、飲食業界を幅広く取材。“美味しい料理のその前”が知りたくて、一次生産者へ興味が尽きず産地巡りの日々。取材で出会った産品の販路アドバイスも行う。

[日経MJ 2020年7月10日付]

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