コロナ最前線で心身疲弊 どうする医療スタッフのケア

新型コロナウイルス治療の最前線で働く医療従事者へのメンタルケアが課題になっている。治療法も限られ、予防法も確立していない中、「家族や周囲にうつしてしまう」「自分が院内感染の原因になるかも」との不安や緊張で強いストレスを受ける。「第2波」に備えるため各病院が対策に取り組んでいる。

埼玉医科大病院の「こころのケアチーム」は相談者を匿名化した上で、医療スタッフのケアについて検討する=同病院提供

「ストレスを放置すると適応障害だけでなく、不安障害やうつ病を発症することもある」。埼玉医科大病院神経精神科・心療内科医長の松岡孝裕医師は強調する。3月から主に重症患者を受け入れてきた同病院は、4月下旬に「現場が精神的に疲弊している」との声が病院長に届き、院内に医師と看護師、公認心理師、精神保健福祉士などから構成する「こころのケアチーム」を立ち上げた。

松岡医師が懸念するのは、患者数がピークを超えた後、症状が表れる事態だ。「感染拡大の渦中にあるときは自身の状態に気づけず、収束に向かう時になって精神症状に気づくことがある。第1波が収束した今こそ、職員が相談しやすいよう心配りをしていく必要がある」

まず取り組んだのは職員への啓発活動だ。「院内には様々な職種がおり、皆が医学を学んだわけではない。正しい理解を広げることが重要と考えた」(松岡医師)。定期的に職員のパソコンやモバイル端末に「こころのケアチーム通信」を発信する。

メンタルサポートを必要とする人を早期にすくいあげるために複数の相談ルートも設けた。チーム通信には相談窓口としてチームのメールアドレスを記載した。さらに現場のSOSを察知するため、上司が部下の様子に目配りし、異変に気付いた場合はチームへの相談方法を案内するなどした。6月には全職員を対象にパソコンやモバイル端末を使ったアンケートを実施。相談を希望するか尋ねると約10人が希望した。

結果は切実だ。「家族へ感染させるのではないか」という不安。評価や称賛が得られにくい苦しさ。理不尽に避けられたことへの失望。第2波、第3波への恐れ、「燃え尽き」の懸念――。松岡医師は対策が急務であると実感している。

「一番大事なのは不調にさせないこと。事前にセルフケアの方法を伝えるようにした」と話すのは東京労災病院の勤労者メンタルヘルス研究センター長の柴岡三智医師だ。新型コロナ疑い患者を診療する呼吸器内科と総合診療科の医師には、事前に面談を実施。アルコールやたばこの量を増やさないようにするなど、セルフケアの方法を記載した用紙を渡すようにした。

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