梅雨のだるさに汗かきエクササイズ 夏に備え汗腺刺激
梅雨時に表れがちな「だるさ」。コロナ禍によって今年は屋外活動を控えるケースも多く、疲労を感じやすくなっている。家にいながら短時間でしっかり汗をかく軽運動を取り入れ、心身をすっきりさせよう。
大気が湿っぽくなると頭痛、イライラを感じる人も多いだろう。自律神経の乱れが原因かもしれない。気圧と密接に関係し、低気圧になると興奮を鎮める副交感神経が強く働いて、体が休めモードになり、だるさを感じやすくなる。また湿度が高いと発汗しにくく、血行不良を招いて、むくみや疲労感につながる。
特に今年はコロナ対策に伴う外出自粛の影響で、通勤などの屋外活動によって本来は春先に鍛えられる汗腺が十分に準備されていないことが多い。放置すれば夏場に熱中症にかかりやすくなる。しっかり汗をかく運動を日常生活の中に取り入れていこう。
だるさを感じる時は急に運動を始めるより、身体にスイッチを入れることが大切だ。まずは(1)肩甲骨を刺激する。肩を引き上げ、後ろへ引き、肩甲骨をお尻の方へ引き寄せるようにする。上半身の動きに大きく関わる肩甲骨を刺激すると、運動への準備が整いやすくなる。さらに太腿(もも)や腕をまんべんなくパンパンと手でたたく(2)タッピング。脳に刺激が伝わり、運動モードに入るというスイッチが、入りやすくなる。
こうして体が目覚めたら、まずは椅子に座ってできる運動から始めよう。最初は(3)前後腕振り。軽く肘を曲げて前後に腕を振る。身体が温まってくるのを感じよう。
次に(4)脱力&背筋。息を吸いながら腕を突き出し、拳で弧を描くようにしながら上体を倒して脱力し、両腕を戻しながら上体を起こして肩甲骨を寄せる。その後は両腕を肩の高さに突き出しながら片脚を伸ばして戻す(5)腕・膝伸ばしも試そう。リズミカルに繰り返すのがポイントだ。
続けて(6)肘・膝タッチに移る。テンポよく左肘と右膝、右肘と左膝を交互にタッチする。前かがみにならないよう上体を起こして行う。
座った運動でエンジンがかかれば、立ち上って下肢筋を動かす。全身を刺激できる。まずは、脚を大きく開いて立ち、左右に重心を移動させる(7)膝曲げ重心移動。両腕を前後に振りながらリズミカルに動く。膝や腰に不安のある人は足幅を狭くし、浅目に屈伸するとチャレンジしやすい。膝や腰に負担をかけないため、身体をのけ反らせないように注意しよう。
続いて(8)天井押し上げスクワット。手のひらを天井に向けて肩の高さに置き、脚はやや大きく開いて立つ。そして腰を落として、手のひらで天井を押し上げるように突き上げる。屈伸の程度は体力に合わせて無理をする必要はない。勢いよく天井を突き上げる。最後は1分間の(9)その場ランニング。無理のないペースで行うのが大切だ。
だるさを感じているときは決して無理に頑張らない。まずは、できそうな運動を選んで合計1分間になるようにして試したい。湿った身体を爽快にして、梅雨時のだるさを乗り切ろう。
(早稲田大学スポーツ科学学術院 荒木邦子)
[NIKKEIプラス1 2020年7月4日付]
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