仕事はかどる香り試した やる気ふつふつ?気持ち変化

NIKKEIプラス1

声を分析して、気持ちに合わせた香りを噴霧するディフューザー(東京都千代田区の「ポイントゼロ マルノウチ」)=石井 明和撮影
声を分析して、気持ちに合わせた香りを噴霧するディフューザー(東京都千代田区の「ポイントゼロ マルノウチ」)=石井 明和撮影

働きやすい職場に香りを活用する試みがある。緊張や不安を声から分析、和らげる香りを自動的に噴霧する。人の気分にどう影響を与えるのか。最新の香り事情を探った。

東京駅近くのビルにあるシェアオフィス「ポイントゼロ マルノウチ」。ライオンやダイキン工業などが昨年7月から、生産性を高める快適な職場空間をつくる実証実験を重ねる。現在は17社が参加して香りや音、照明、空調などが働く人にどう影響するかデータを集めている。

香りを体験した。会議室のテーブルには、ライオンが開発した直径15センチメートルほどのしゃれた球体のディフューザーがある。センサーを内蔵し、パソコンと連動して会話の声の抑揚から感情を解析して香りを放つ。強い主張(怒り)、快活、平常、不安の感情を読み取り、爽やかなミント調、落ち着いたハーブ調、リフレッシュ系のシトラス調の3種類の香りが噴霧される。

取材をしながら1時間ほど体感したが、香りの変化は正直よくわからない。ただ、初対面で初めての場所の割には落ち着いて会話ができたような気がする。ライオンの研究開発本部・主任研究員の河野智子さんによると「ほのかに香るよう一定の間隔を開ける設定にしている」。男性より女性の方が敏感なようだ。

仕組みはわかったが疑問がある。例えば、怒っている人と平常心の人が話すと、どのような香りが出るのか。「その調整が悩みどころ。一定の時間で最も多く占める感情に合わせているが、少しでも怒りの感情を読み取ったらリラックスできる香りを噴霧する調整もできる」(河野さん)

実験では体験した7割の人が会議の雰囲気の変化を感じ、ほぼ全員が自分自身の気持ちの変化を感じた。「初めてのプレゼンで緊張したが、香りが噴霧されて緊張がほぐれた」という感想もあった。

香りはプラスだけではない。同社は自分では気づきにくい口臭をチェックできるアプリも開発。舌をスマホで撮影すると、AI(人工知能)が舌の状態を分析し「口臭リスク」を表示する。数値化することで歯磨きなどの自己管理を促す仕掛けだ。

加齢臭や口臭で迷惑をかけることなく、仕事がはかどる香りの中で過ごしたい。河野さんは「香り単独だけでなく、光や音、空調との相互作用を高めるクロスモーダル効果の実証を続けたい」と話す。

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