梅雨どきの足元のケア 革靴は乾かす前に表面ぬらす

NIKKEIプラス1

三浦秀行撮影
三浦秀行撮影

梅雨のしとしと雨に夏のゲリラ豪雨。お気に入りの靴を雨で台無しにしないためには、どんなケアをすればいいのだろうか。ダメージを防ぐ事前の対策とぬれてしまったときの対処法を教わった。

事前対策として大切なのは、靴に雨が染み込まないようにすること。シューケア用品を取り扱うR&D(東京・台東)のRTPシューケアティーチング専任講師、四垂和幸さんは「防水スプレーは非常に有効」と話す。

防水スプレーで 事前の対策を

水をはじくだけではなく、汚れの付着やシミを防ぐ効果もある。使うときは屋外で。室内で作業する場合でも換気して絶対に吸い込まないこと。靴の表面にスプレーをかけた後は、成分が定着するよう30分以上乾かす。「履く前の日にかけておくと効果的」と四垂さんは説明する。

市販されている防水スプレーにはシリコン系とフッ素系がある。東急ハンズ池袋店(東京・豊島)のシューケアマイスター、吉田旬さんによると、「革に使うのであれば、フッ素系がおすすめ」だ。

フッ素系は表面をコーティングするのではなく、革の繊維に浸透してはっ水させるため、靴の通気性を保ちやすい。シリコン系より持続性は劣るが、フッ素系のスプレーが1本あれば、革のほかスエードや布などにも対応でき、使い勝手がいいという。

ぬれてしまった場合はどんな手入れが必要だろうか。革靴をそのまま乾かすと、シミになったり、白い粉が浮き出てしまったりすることがある。これを防ぐには「乾く前に靴の表面全体を水でぬらすといい」と四垂さん。ぬれた部分とそうでない部分があると、乾燥のスピードにムラが出てシミになるからだ。

手順としてはまず、靴についたクリームやワックスをクリーナーで落とす。次に、水をたっぷり含ませたタオルか表面がやわらかいスポンジで全体をぬらす。靴の内側には接着剤などが使われているため、「表面だけをぬらすこと」(四垂さん)。その後は靴の形が崩れないようシューキーパーなどを入れ、風通しのよい日陰で2~3日乾かす。

靴は乾いたように見えても、底がぬれている場合が多い。湿ったままゲタ箱に収納すると、カビの原因になってしまう。乾かすときは斜めに立てかけ、靴底を浮かした状態にして空気にあてよう。乾燥後は普段の手入れと同様に、靴クリームを塗る。

ひどい汚れには 専用洗剤使う

泥水が染み込むなどして汚れがひどい場合は、革靴専用の洗剤を使って洗うといい。シミを防ぐため表面全体をぬらすやり方と同じように、汚れなどをクリーナーで落とした後、表面だけに水を染み込ませる。スポンジで洗剤を泡立たせて靴に泡をのせ、ブラシでこする。泡をスポンジで取り除いたらタオルで水気を拭き取り、靴専用の除菌剤などを吹きかけて陰干しする。

「ただし、爬虫(はちゅう)類の革や馬革のコードバンなど、水で洗うのに適さない素材もある」(四垂さん)。長期間履いていると多量の汗が革に染み、その塩分で素材が傷むことがある。靴の洗浄は目に見える汚れだけでなく、滞留している不純物もきれいにする。靴を洗うことは、靴を長持ちさせることにもつながる。

スニーカーについてはどうか。高級ブランドのものや、お気に入りを長く丁寧に履きたいというニーズが増えている。四垂さんによると、やはりスニーカー専用の洗剤で洗うのがおすすめだ。

スニーカーには革のほか、スエード、キャンバス地など、1足のなかにいろいろな素材が組み合わされていることがある。「さまざまな素材に対応する洗剤が便利。白くしたいために漂白剤を使うと、色落ちや黄ばみの原因になることがある」(四垂さん)。ブラシで洗った後は洗剤を落とし、革靴と同じように陰干しして乾燥させよう。

湿気の多い時期はカビも気になる。雨にぬれていなくても、皮革製品にはカビが発生しやすい。「靴のなかに入れる除湿製品を特におすすめしている。最近では菌を自宅に持ち込まないようにするため、靴底に除菌を施すこともある」(吉田さん)

雨の日には合成皮革やラバーソールなど、はっ水効果の高い靴を選ぶのが一般的だ。だが、対策とケアの方法を知っていれば、お気に入りを履いた外出先で急な雨に降られても安心。身だしなみを気にする人にとっても、靴選びの幅が広がるだろう。

(ライター 土井 ゆう子)

[NIKKEIプラス1 2020年6月27日付]

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