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宮城食材、ウェブ上でフェア 名店シェフの協力で完売

日経MJ

イベントでは、シェフが調理方法を実演した
イベントでは、シェフが調理方法を実演した

コロナ自粛の影響を受けている産地や飲食店は多い。少しでも販路拡大につなげようとウェブイベントを開催する自治体や企業が増えつつある。

そんななか、いち早く対応したのが宮城県だ。地元食材の販路拡大だけでなく、地元食材を使用する首都圏の飲食店や巣ごもり疲れの消費者を「食」のイベントで元気づけようと、「おうちで“みやぎ”フェア」をウェブ上で5月に開催した。企画運営は食雑誌「dancyu」を出版するプレジデント社が請け負い、筆者も企画や人選などで参加した。

イベントはウェブ会議システムの「Zoom」を使い、参加者が人気店のシェフと一緒に、通販で購入した地元食材を使って料理を作り、食べて楽しむというもの。食材は「仙台牛セット」「鮮魚セット」「野菜セット」という宮城県の鉄板食材3種類を用意した。

どのセットにも、筆者が足を運び生産者の話を聞いた思いのある食材が詰まっている。イベントに合わせて用意した15食分の食材セットは告知から数日で完売した。

食材にゆかりのある人気店のシェフにレシピの考案をお願いした。

宮城県産黒毛和牛のなかで最高の5等級しか名乗れない「仙台牛」は焼き肉用を盛り合わせで販売。家庭で手軽に楽しめるよう“ホットプレート焼き”を提案した。教えるのは日ごろから仙台牛を提供する焼肉店「焼肉黒田」の加納遼平店長が焼き方のコツとタレのレシピを伝授した。

野菜は宮城県の涌谷町にある産直が旬の野菜をセレクト。柱として「肉よりうまい」と生産者が自負する奥寺農園の原木椎茸(しいたけ)は必ず入るように設定した。料理は斬新な和食で人気を博す「eat 麻布十番店」の佐藤幹シェフがボリューム満点のメンチカツと春野菜をナムル風のあえ物にした。佐藤シェフは実際に奥寺農園に足を運んでおり、その環境と生産者の思いに触れていたのでお願いした。

鮮魚は宮城県のおいしい魚を刺し身で存分に楽しんでもらえるようあえて冷凍温度帯の商品をセレクトした。レシピは宮城県気仙沼出身の「アルマ 恵比寿店」の佐藤正光シェフが担当した。

鮮魚と野菜のマリアージュ「サルピコンソース仕立て」

レシピ動画はユーチューブにアップし、宮城県のサイト「宮城県インターネット広報資料室」からアクセスできるようにした。

参加者はウェブイベントの初心者が多かったが、リアルタイムで調理の疑問を料理人に聞けるので、好評だった。ただ、参加者の料理スキルにバラツキがあると、その足並みをそろえる工夫は必要だと感じた。筆者は生配信の現場に立ち会ったのだが、現場は「密」を避けるために最小限で切り盛りし、司会進行役もリモートで参加するほどだった。

Zoomイベント成功のカギは安定した通信インフラにあると感じた。現場では複数の回線に割り振って品質を保ったが、通信環境構築には気を配るべきだろう。ウェブイベントは「ウィズ コロナ」時代に使えるインフラとなりそうだ。

(フードジャーナリスト 鈴木桂水)

鈴木桂水(すずき・けいすい)
フードジャーナリスト・食材プロデューサー。美味しいお店から繁盛店まで、飲食業界を幅広く取材。“美味しい料理のその前”が知りたくて、一次生産者へ興味が尽きず産地巡りの日々。取材で出会った産品の販路アドバイスも行う。

[日経MJ 2020年6月12日付]

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