お麩は使い勝手いい備蓄食 離乳食や肉の代わりに 管理栄養士 今泉マユ子

東日本大震災をきっかけに災害時の食について研究し始め、「防災食アドバイザー」として全国各地で講演している。「何を買っておけばいいの?」とよく質問されるが、これが正解といえるものはなかなかないと思う。どれだけ備蓄に適した食材でも、好みの味でなかったり、うまく調理できなかったりすれば、そのご家庭におすすめとはいえないからだ。

非常食に関しては「ローリングストック」という言葉がある。備蓄できる食材をいつもの食事に取り入れながら、食べた分を買い足していき、いざというときに備えようという発想だ。うまく取り入れれば、日々の調理の時間短縮につながるし、新型コロナウイルスのような感染症が流行した場合にも役立つ。実践している人が増えてきているようだ。

ただ「備蓄用に購入はしたものの普段の食事に出せないでいるうちに賞味期限が切れてしまい、結局買い直した」といった話も耳にする。どうしても備蓄する方に目が行きがちだが、やはり「上手に食べる」のが大事だ。

そこで今回テーマにしたいのが乾物の「お麩(ふ)」。汁物に入れたことしかなく、気が付くと傷んでしまっていたという方も多いのでは。実はどんな食材とも合わせやすく、使い勝手がいい。高たんぱく質で低カロリー、ミネラルも豊富。消化がよくて離乳食にも使えるほどだ。肉の代わりにも使えるし、料理のボリュームアップにも役立つ。

主な原料となっているのが小麦などに含まれるたんぱく質のグルテン。グルテンにもち粉を加え、蒸したりゆでたりしてつくるのが生麩だ。ヨモギやアワ、ゴマを加えたものもあり、煮物や田楽、揚げ物にするとおいしい。

焼き麩はグルテンに小麦粉を加えて焼き上げており、棒に巻いて焼いた車麩、板状の板麩、丸い一口サイズの小町麩などがある。鍋物や汁の具、あえ物によく合う。料理に使うときは水で戻してからが基本。種類によっては沸騰したスープやだしにそのまま入れてしまうと、かたく縮んでしまう。戻さずに使う場合は水または冷たいだしの段階で入れてみよう。

お麩で簡単におやつを作ることもできる。ポリ袋に小町麩10個と大さじ2杯の水を入れ、さらにココアを加えてシャカシャカ振ってみよう。生チョコのような食感のお麩チョコができあがる。水を入れないで作り、そのままポリポリ食べるのも楽しい。普段の食事で積極的に使い、もしものときもおいしく召し上がってほしい。

今泉マユ子(いまいずみ・まゆこ)
1969年生まれ。管理栄養士として企業の社員食堂、病院や保育園に勤務。缶詰やレトルト食品を使った時短レシピのアレンジのほか、防災食アドバイザーとしても活躍。

[日本経済新聞夕刊2020年6月9日付]

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