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アトピー新薬、自宅で手軽に注射 かゆみの原因抑える

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NIKKEI STYLE

注射することで、アトピー性皮膚炎の症状を抑える新薬が登場した。患者本人が自分で注射することもでき、何度も通院しなくても自宅で手軽に利用できる。高額だが、外用薬が効きにくかった人にも効果がある事例も多い。ただ、症状の改善には既存薬との併用が必要不可欠だと専門家は指摘する。

40年間苦しんだかゆみからようやく解放された――。広島県に住む40歳代の男性は、幼少期から悩まされてきたアトピー性皮膚炎の症状が改善した。担当医師から処方されたのは、2018年にサノフィが発売したアトピー性皮膚炎の注射薬デュピクセント(デュピルマブ)。皮下注射することで、かゆみの原因たんぱく質の働きを抑える。

アトピー性皮膚炎は、かゆみや赤みを伴う皮膚の病気だ。アレルギー疾患の一つで、日本に約51万人の患者がいるとみられる。

これまでは、ステロイド外用薬やタクロリムス軟こうなどの塗り薬、かゆみ止めなどの飲み薬で症状を緩和する治療が一般的だった。しかし、「症状が重いと塗り薬で効果を実感できない患者も多い」と広島大学病院の田中暁生准教授は話す。

そこで登場したのが注射薬のデュピクセントだ。田中准教授はこれまで30人弱の患者に処方した。「多くの人に共通してとてもよく効く」という。

通院の負担減

さらに患者にとって福音となったのは、19年5月から在宅での注射が認められたことだ。自己注射の場合、最大で約3カ月分(6本)の注射薬が一度の診察で処方される。医療機関での注射投与の場合は、2週間に1回の通院が必要だったため患者にとって負担が減った。

初回に医師が600ミリグラムを注射し、二回目以降は300ミリグラムずつ自己注射する。太ももや二の腕、へそ周り以外の腹部など、重要な器官が少ない部位に皮下注射する。かゆみや痛みがある場所は避ける必要があるという。薬は冷蔵庫で保存する必要があるが、京都大学の大塚篤司特定准教授は「注射時には室温(セ氏25度)程度に戻すと注射の痛みが和らぐ」とコツを話す。

アトピー性皮膚炎は、「Th2」と呼ぶリンパ球が分泌する様々なサイトカイン(たんぱく質)が、皮膚のバリアー機能を低下させたり、炎症を強めたりすることで引き起こされる。デュピクセントは、「インターロイキン(IL)―4」と「IL-13」と呼ぶかゆみの原因をつくるサイトカインの働きを阻害する。症状の緩和を狙う外用薬や飲み薬とは違い、かゆみの根本原因を体内から取り除こうとするため、効果が高いとみられる。

ただし、いくつか注意点もある。厚生労働省は、中等症以上の15歳以上の患者に限って保険適用を認めている。6カ月以上、強いステロイド外用薬やタクロリムス軟こうなどで症状を制御できない患者が利用できる薬剤としている。

薬代は高額

薬代も比較的高額だ。20年4月に薬価が約20%下がったが、それでも注射1本につき6万6000円超。デュピクセントは初回に2本、以降は2週間おきに1本注射する必要があるため、最初の1カ月は約26万5000円かかる計算だ。患者の負担額は、通常の3割負担の場合で約8万円となる。

ただ、自宅注射を選べば一度に処方できる本数が増え、高額療養費制度が利用できる金額になる。この制度は、1カ月の医療費が上限を超えた場合に超過分を国が負担する仕組みだ。上限額は所得によって変わる。例えば69歳以下で世帯年収が700万円の場合は、約17万円を超えると超過分を国が負担する。

デュピクセントを使用しても、外用薬は使い続ける必要がある。「デュピクセントとステロイドの両輪でアトピーの症状を改善させる」(広大の田中准教授)というように、併用を前提に患者に処方しているケースは多い。日本医科大学の佐伯秀久教授は「併用が必須だが、症状が改善した場合は外用薬の塗る量や回数を減らしてもいい」と指摘する。

「(デュピクセントと併用する)塗り薬の塗り方の違いで効果に差が出る可能性がある」と広大の田中准教授は話す。塗り薬は、(1)大人の左右の手のひら分の面積程度を目安にする(2)患部全体を覆うように塗る(3)塗布後に保湿のためにローションなどを使う――といった様々な行程が必要だ。背中や後頭部などは見えにくく、塗りそびれる恐れもある。期待通りの効果を得るためにもきちんと塗りたい。

◇  ◇  ◇

アトピーの患者は9年で16万人増

アトピー性皮膚炎の患者数は、近年急増傾向にある。厚生労働省の患者調査の総患者数によると、2008年に約35万人だった患者は、17年には16万人増の約51万人になったという。原因はわかっていないが、先進国では、花粉症などのアレルギー疾患全体の患者数も増加傾向にある。

国内の患者の年齢別では、1992年~02年の皮膚科医の健診による調査では、乳児で最大32%、幼児が同27%、小学生は同15%発症しているという。06~08年度の厚生労働科学研究では、約5000人を対象にした調査で20代が約10%発症しているのに対し、40代で4%、50~60代で2.5%に症状があった。若年層に多い病気で、年齢とともに症状がなくなることも多いが、重症化したり慢性化したりする例もある。

政府は15年にアレルギー疾患対策基本法を施行。同法に基づく指針では、全国で均一なアレルギー疾患の治療を受けられる体制整備が明記されている。幼少期からの発症が多いアトピー性皮膚炎の最新治療も、全国に行き渡る必要がある。

(矢野摂士)

[日本経済新聞夕刊2020年6月8日付]

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