斎藤さんによれば、これまでの販売台数は約1000台。ポップな外見にかかわらず50代男性の購入が多く「電気自動車(EV)の日産リーフに乗って現物を見に来る人が目立つ」という。

一方地方では、ガソリンスタンドの減少に困って買っていく人がかなりいるらしい。購入者は新しモノ好きと、社会的制限から電動を求める人の二極に分かれるようだ。

バッテリーの電気残量がバーの数で示されるnotteのメーター。最高速度は40キロメートルに届かない

速度の遅さに多少の不満はあっても、電動原付きには大きな利点がある。(1)騒音や排出ガスが本当にゼロ(2)電気代が1キロメートル0.5円とガソリン車の7分の1(3)継ぎ目のない加速の心地よさ――だ。

無音という特性は朝晩の閑静な住宅地に最適で、搭載するリチウムイオンバッテリーにフル充電しても1回当たり30円という電気代もほとんど気にならない。

テレビ番組では「電欠」を起こした出川さんが「ヤバイよヤバイよ」などと笑いをとる。意外かもしれないがnotteの航続距離は公称60キロメートルで、坂だらけの東京でも45キロメートルは走り不自由はない。

ただしフル充電には10時間かかるので、出先で充電してさらに遠くに行くのは無理がある。往復を考えれば行動半径は22~23キロメートルだ。

使って気付くことも多い。住宅地の路地では出合い頭の衝突に注意が必要だ。静か過ぎて歩行者や自転車が気付かないからだ。台数が増えれば、EVのように対歩行者用の警報音が必要になるだろう。

新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言は解除されたが、感染防止で公共交通機関を避けようと考える人は多い。電動原付きに手を伸ばすのは“クール”だと思う。

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原付き販売台数 40年で激減

排気量50cc以下の第1種原動機付き自転車の市場は縮小が続く。日本自動車工業会によると主婦らに人気だった1980年の国内メーカーの販売台数は197万8426台。2018年には14万3129台と93%減った。notteなど電動原付きの販売台数は不明だ。

2006年ごろから原付きへの駐車取り締まりが強化され、メーカーの排ガス規制対応で価格も上昇。若者数の減少なども響いた。一方、排気量125cc以下の第2種原付きの18年の出荷は80年比47%減の10万5536台と打撃が少ない。MSソリューションズも近くnotteの販売を終わらせて原付き1種を新機種に移行し、原付き2種や最高速度200キロメートルの電動大型バイクを拡販するという。

(礒哲司)

[NIKKEIプラス1 2020年6月6日付]

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