財布にも環境にも優しそうな充電式の電動の原付きスクーター。2年半前に買って近辺で使ってきたが、それはガソリンエンジンの原付きとは全く違う乗り物だった。
電動原付きスクーターで走るとき、何より大切な装備は右側のバックミラーだ。2番目は左側ミラー。それがMSソリューションズ(福岡市)がXEAM(ジーム)ブランドで中国から輸入するnotte(ノッテ)に2017年12月から乗っている記者(58)の正直な感想である。
電動原付きは車や自動二輪車、さらには同じ「第1種原動機付き自転車」に分類されるガソリンエンジン型原付きより遅い。近所の路地走りなら十分でも、2車線の生活道路に出た後は、右側をかすめる乗用車などの風圧に備えるため後方の見張りが必要だ。
過去にヤマハ発動機製のトライ(5馬力)やジョグ(6.8馬力)という50ccのガソリンエンジン型原付きと付き合ったが、どちらも怖いほど速かった。対するnotteのモーターの定格出力は600ワット(馬力換算0.8馬力)。1種原付きの規格が電動の場合600ワット以下と定められているためだ。
実際の最大瞬間出力は定格の倍は出ているようだが、50ccの排気量さえ守れば馬力を上げられるガソリン車に比べ不利なのだ。
もっともガソリン車と比べる記者の視線は間違っているのかもしれない。MSソリューションズXEAM事業部の斎藤彰仁課長は「notteは電動アシスト自転車の購入を考えている人や近距離の通勤向け。販売時には長距離移動や山坂の多い地形に向かないと説明している」という。
確かにnotteの値段は電動アシスト付き自転車より数万円高いだけの15万8000円(税抜き)。記者が買った初期型は14万7000円だった。
テレビ番組でタレントの出川哲朗さんが乗っているヤマハ発動機の「E―ビーノ」(定格出力580ワット)は21万9000円。スタートアップ企業のBLAZE(名古屋市)が販売する、折りたたみ式の「BLAZE EV SCOOTER」(同350ワット、13万6000円)などもある。