帽子洗濯のコツ 洗剤付け水拭き、風船で形保ち乾燥
洗濯家 中村祐一
6月に入ると、暑い日が多くなっていく。これから迎える夏本番には帽子の出番も増えるだろう。ただ毎日洗濯する服と違い、帽子を頻繁に洗う人は少ないのではないだろうか。
帽子は汗を吸ってしまうもの。女性であれば、ファンデーションなどの汚れも付きやすい。クリーニング店には変色してしまった帽子を何とかしてほしいという依頼が後を絶たない。確かに技術力のある店ではできる限り汚れを落とし、きれいに仕上げてくれる。諦めずに相談してほしい。ただそもそも変色させないような日々のお手入れも大切になってくる。
帽子の洗い方を簡単に紹介していきたい。まずは洗濯表示をチェックする。家庭で洗濯できない表示があれば、丸洗いは避け、日々の汚れを拭き取るくらいにする。
ファンデーションなどで汚れた部分には10倍程度に薄めた中性洗剤を付けて汚れを浮かせ、その後にタオルで水拭きをする。汚れをタオルに移すようにして落とす感覚だ。手に入るようならば、消毒用のエタノールを使って汚れを拭き取るのもいい。油分もある程度取れるうえ、揮発性も高く、すすぎがいらないのも助かる。
シーズン後にはクリーニング店に相談してほしい。ポリプロピレン、紙、竹などの素材の帽子も多いが、これらは水で洗うと縮みや破れなどのトラブルが起こりやすい。洗うにしてもより慎重な判断が求められるからだ。
洗える素材のものは、水でじゃぶじゃぶと洗っていこう。洗剤は普段着用の液体洗剤でいいが、よりやさしく洗いたいと思う帽子ならばオシャレ着用でもいい。おでこの当たる部分など汚れが目立つ場合は先に洗剤を直接付け、部分洗いをしてから全体を洗おう。
5分程度かけて汚れがある程度浮いてくれば、水を替えてすすぎに入る。水がきれいになるまで何度か水を替えて繰り返そう。
帽子の張りを戻したければ、すすぎの後に市販の「のり剤」を使おう。水5リットルに5ミリリットル程度を目安に溶かし、帽子に染み込ませておく。かために仕上げたい時はのり剤を少し増やすなど、好みに合わせて調節してほしい。
それから脱水。洗濯機の場合は形崩れやシワを防ぐためにも30秒程度で止めるのがオススメ。慎重を期すなら、洗濯機にかけずにタオルで水分を拭き取っておく。
干す際に試してほしいのが風船を使う方法。帽子の内側で膨らませると、形が整えられる。ぴったりの大きさにすれば、ひっくり返しても落ちにくく、私は風船の結び目を洗濯ばさみで留めてつるしている。帽子にあともつかない。乾燥後に低温でアイロンをあてるとさらに張りが出る。服と同じように帽子もお手入れが大事。気を付けて長く大切に使ってほしい。
1984年生まれ。クリーニング会社「芳洗舎」(長野県伊那市)3代目。一般家庭にプロの洗濯ノウハウを伝える「洗濯家」として活動。「洗濯王子」の愛称でメディア出演も。
[日本経済新聞夕刊2020年6月2日付]
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