壁紙、お手入れでさっぱり 油汚れにセスキ水・重曹水
家にいる時間が長くなると、今まで気づかなかった汚れが目につくようになる。壁紙の汚れもその一つ。自分でできる汚れ落としと簡単な傷の補修方法を専門家に聞いた。
家の壁にはさまざまな汚れが付いている。見た目が悪いだけでなく、においの原因にもなる。定期的に掃除して清潔に保ちたい。
ビニール製は掃除しやすく
壁紙の代表的な素材は塩化ビニールだ。サービス業のインターネット商店街「くらしのマーケット」に出店し、ハウスクリーニングを手がける磯野敦雄さんは「ビニールなら自分で掃除できる」と話す。「濃い色は色落ちすることもあり注意が必要だが、白や白に近いものはまず大丈夫」という。
掃除は壁全体のほこり取りから始めよう。高い場所にも届くよう柄が伸びるハンディモップで落とし、隅は掃除機で吸い取る。
次は水拭きだ。バケツに35~40度のぬるま湯を用意し、マイクロファイバーのクロスを浸して軽く絞る。ぬれたクロスで全体を雑巾掛けした後、乾いたクロスでから拭きする。「お湯で緩めた汚れをクロスで絡め取る。横拭きと縦拭きを組み合わせると、拭き残しがない」(磯野さん)
これだけでだいぶすっきりするが、しつこい汚れにはもうひと手間必要だ。
キッチンの壁に飛んだ油やコンセント周りの手あかは水拭きだけでは取りづらい。これらの油汚れは酸性のため、アルカリ性の洗剤で中和させて落とすといい。セスキ炭酸ソーダを薄めたセスキ水や重曹水などをスプレーで吹きかけた後、メラミンスポンジでなでるようにこする。縦横にまんべんなく、を意識する。
塊になってこびりついた汚れはブラシでこする。「クロスの凹凸に入り込んだ汚れのほか、固まったほこりやペットの毛などもブラシでこすると落ちやすい」(磯野さん)
仕上げにお湯に浸したクロスで拭き、から拭きする。「1区画ずつ手が届く範囲を順番に掃除するのがムラなくきれいに仕上げるコツ」と磯野さん。セスキ水やメラミンスポンジ、クロスなどは100円ショップでも買え、便利だ。
たばこのヤニのほか、油性ペンによる落書き、ペットの肉球の跡なども気になる。こうした汚れもだいたいセスキ水や重曹水で落とせる。ペットのおしっこの臭いはカビ取りスプレーで対処する。ただ、「ヤニやペットのおしっこも、壁の下地まで染み込んでしまうと落とせない」(磯野さん)ので要注意だ。
カビを退治したい人も多いだろう。カビ取りスプレーを使い、ブラシでこすって取り除くのが基本だ。手袋をはめ、換気しながら吹きかけよう。「塩素系なので衣類にかかると色落ちする。飛び散りが気になるなら、ビニールをマスキングテープなどで周囲にはるといい」(磯野さん)
窓枠との境目などに付いたカビは隙間ブラシや歯ブラシなど小さなものを使う。こちらも水拭きした後、から拭きして仕上げよう。
ほかの素材の壁紙はどうか。紙製をはったり、和室に塗り壁があったりする家もある。磯野さんは「こうした素材は傷つきやすいため、自分で手を出さない方がいい」と慎重だ。
傷は放置せず すぐに補修を
余裕があれば、壁の補修も考えたい。DIYの情報サイト「makit!(メキット)」の編集長、宮崎恭輔さんは「穴やささくれも小さなものであれば、ホームセンターで売っている道具で補修できる」と話す。
画びょうやくぎ、ネジの跡などの小さな穴には専用の穴埋め剤を使う。「ネジの穴の周りが盛り上がっている場合は、マイナスドライバーで平らにしてから穴埋め剤を入れるのがコツ」(宮崎さん)
壁紙のささくれについては、壁紙が残っていれば補修のりではり戻すことができる。宮崎さんによると、ペットの爪痕のような細い傷は、壁紙がなくなっても穴埋め剤で補修できる場合がある。反対に、「壁紙が残っていても長年放置していたものは、隙間にほこりがたまっており接着しづらい」。傷は放置せず、すぐ補修するのが理想だ。
大きい傷は「部分補修するより、別の壁紙を上からはってしまう方が見栄えがいい」と宮崎さん。汚れも傷も時間が経過したり、下地の石こうボードまで及んだりしている場合は、プロに掃除やはり替えを依頼するのも一案だ。
(ライター 奈良 貴子)
[NIKKEIプラス1 2020年5月30日付]
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