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最新の技術をうまく活用すれば、教育の質を高めることができる イラスト・よしおか じゅんいち

新型コロナウイルスパンデミックによって学校が休校になり、世界中の子供たちは家庭での学習を余儀なくされた。「子供の学びを止めない」は日本の文科省・経産省など関係省庁および教育関係者の標語になった。

学校中心の教育から家庭中心の教育へ、またそのブレンド型教育は、世界中の壮大な教育実験とも呼べる現象を引き起こしている。かくして、デジタル教材をウェブサイトにアップし、家庭からでもアクセスして一部は無料で活用できるようになり、先生方はウェブ会議ツールを使って家庭にいる子供たちに遠隔授業を送り始めた。そしてこれをオンライン学習と呼ぶようになった。

子供の主体性が鍵

しかしオンライン学習は、欧米諸国とは少しニュアンスが異なる。日本では先生が教室と同じように、インターネットで家庭と結んで授業をすることであるが、諸外国ではリアルタイムの授業だけでなく、クラウド上の電子掲示板に、子供が作品をアップし、質問や意見などを書き込み議論するツールと組み合わせる学習スタイルが多い。つまり先生が教室で教える授業と、自学自習やグループ活動などの両方をテクノロジーで実現している。

それは、先生から教えてもらうだけでなく、子供たち自身が主体的に教材で学習したり議論をしたりするなど、子供中心の学習観に基づいているからである。テクノロジーは、それを支えるツールだという考え方が、近年注目されているEdTech(エドテック)である。佐藤昌宏著『EdTechが変える教育の未来』(インプレス・2018年)は、その概念の詳細な紹介をしている。佐藤氏は、エドテックは教育にテクノロジーを応用するだけでなくイノベーションを起こす役割だと主張している。

オンライン学習は、先生がいて教室があって友達がいて時間割があって給食があって体育館があって校則があって、という学校中心の教育と異なることはすぐに分かるだろう。家庭では、遊んでいても寝ていても、誰も注意をしてくれない。自分をコントロールする力の有無によって、きわめて大きな格差を生むだろう。

これは、オンライン学習で最も懸念される課題である。しかし、それは情報社会の特質でもある。SNS(交流サイト)によって人々の生活はきわめて便利になったが、学校ではネットいじめを引き起こす原因にもなる。一方、SNSで不登校を克服する子供たちも増加し、オンラインだけの高校も増えている。それは、デバイスやテクノロジーに良い悪いの価値が存在するのではなく、その使い方によって光にもなれば影にもなることを示している。

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