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ボブ・ディラン自作詞集 独特のリズム感、日本語でも

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NIKKEI STYLE

2016年にノーベル文学賞を受賞した米シンガー・ソングライター、ボブ・ディラン(79)の自作詞集が刊行された。387編を通して、古い俗謡に新時代の息吹を込めた表現の妙を堪能できる。

『The Lyrics』(岩波書店)は全2巻。1961~2012年に制作・発表した31枚におよぶスタジオ録音アルバムの歌詞を、英語と日本語の対訳で収めた。「テンペスト」(12年)までの自作詞を網羅している。

新訳を手掛けたのは、ビートルズと60年代の若者文化、大衆音楽の歴史などの著作で知られる米文学者、佐藤良明氏だ。話し言葉のシンプルさと、高度な文学的表現を兼ね備えた世界を日本語に移すとき、佐藤氏が最も気を配ったのは「言葉の『体』を外さないことだった」と明かす。

新旧巧みに融合

日本での最初のシングル曲だった「サブテレニアン・ホームシック・ブルース」(65年)はラップの先駆けのようなリズミカルな歌詞が印象深い。「原文でも基本の音節が五七調で出てきているので、それを崩さずに訳している」という。

62年にデビューしたディランはブルースなど米国の伝統的な大衆歌謡を継承しつつ、カントリーやロックを巧みに融合した。フォークソングや、その後のロック世代の旗手として半世紀以上にわたり、音楽や思想界に多大な影響を与え、自らの創作は「転がる石」のごとく変化を続けてきた。

佐藤氏はディランの歌について「日本でいうところの『むすんでひらいて』『どんぐりころころ』のような、わらべ歌を土台にしている」と指摘する。「語呂のよさがキモなので、訳すときは正確さにこだわりすぎず、日本語のリズムを出せるように気を配った」

「オール・アイ・リアリー・ウォント」(64年)の対訳からも、駆け抜けるような独特のリズム感が伝わってくる。

Beat or cheat or mistreat you

――いばる気も、いびる気も、こびる気も(ない)

単語の意味としては、正確には対応していない。だが「いばる、いびる、こびる」の組み合わせは、原詞の韻の積み重ねを絶妙に反映している。

ノーベル賞受賞で新しい聴き手も増えた。佐藤氏は「実際に歌を聴きつつ、英語と日本語の共鳴を楽しんでもらえれば」と話す。

曲名変更にも妙

ディランをデビュー直後から愛聴してきたラジオDJのピーター・バラカン氏に訳詞集を読んでもらった。日英両言語に通じるバラカン氏は「米国のルーツ音楽の膨大な記憶に、自らの言葉を加えてできた重みを感じる」と評する。

「上院下院の議員さん/時代のコールに応えてよ/通せんぼをしないでくれ/通路をふさがないでくれ」と歌う「時代は変わる」(64年)は「最もメッセージ性が強い曲の一つ」だ。泥沼化するベトナム戦争が社会を分断しつつあった当時の米国の状況を背景に「諸行無常の感覚を、畳みかけるような韻で伝えようとしている。トランプ大統領が象徴する現代の米国、そして世界に対しても説得力を持つのでは」とみる。

人種差別、戦争と平和、格差といった問題を象徴的に歌った「風に舞っている」(63年)は「風に吹かれて」として長年親しまれてきた代表曲だが、佐藤氏は新訳で曲名を変えた。「英語の曲名や歌詞にあるblowという語の意味が逆に生きてきた」とバラカン氏。「答えは風に吹かれてどこかに飛んでいってしまったのではなく、目の前にはあるけれど、風に舞っているのでつかみどころがない、という意味合いがよく表れている」と佐藤氏の解釈に賛同する。

「ライク・ア・ローリング・ストーン」(65年)は「さりげなく入れた『持ってる物が何もなきゃ失う物も何もない』という一節が、人生の真理を突いている」と説く。ラブソングの「ジャスト・ライク・ア・ウーマン」(66年)は「curse、hurts、worseと、しつこいほどに韻を踏む独特の詞が面白い」。もっとも英語圏出身者が聴いても「いまだによく分からない表現が出てくる」そうだ。

6月には8年ぶりのオリジナルアルバム「ラフ&ロウディ・ウェイズ」が出る。その歌はいつまでもみずみずしい。

(郷原信之)

[日本経済新聞夕刊2020年5月25日付]

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