梅雨前の衣替えで防虫対策 次に備え収納は素材で分類
生活コラムニスト ももせいづみ
6月に夏服へ、10月に冬服へ。年に2回の衣替えは日本の風物詩でもあるが、現代では服の入れ替えをしないという人も増えてきているようだ。大型のクローゼットがある家が増え、衣替えの習慣は徐々に消えつつあるのかも。ただ、衣替えはもう必要ないとも言い切れない。
気温15~25度、湿度が60%前後となる頃から、衣類につく害虫の動きが活発になるからだ。こうした害虫は、たんすやクローゼットのほこりも大好き。放置していると、発生した虫の死骸なども、ほこりとともに堆積してしまう。単に服の入れ替えだけではなく、衣類をよい状態に保ち、収納場所を清潔にしておくことも、衣替えの目的なのだ。
ということで、梅雨までにぜひ衣類の整理と収納場所のおそうじを。天気の良い日を選んで、家族みんなで取り組もう。
しみや汚れは害虫のえさになりやすいので、まず服をよく点検。汚れの目立つものは、表示をよく見て洗濯かクリーニングへ。洗わないものは、風通しのよい場所で陰干しに。この時、衣類用のブラシをかけておくと、ほこりや汚れが取れて衣類も長持ちする。
ウールやカシミヤなど虫の付きやすい素材は、アイロンの熱で幼虫や卵が死滅するので、しまう前にアイロンがけのひと手間を。引き出しや衣類ケースは一度衣類を全部出して、中の汚れをきれいにしよう。ほこりやカビの胞子が排気で舞い飛ばないよう、クローゼットの床も、まずはおそうじシートなどで拭き、後で掃除機を使うのがよいようだ。今は手に入りにくいけれど、最後にアルコールで拭き上げるのも効果的だ。
最後に、きれいになった場所に手入れ済みの衣類を戻していく。この時が、収納方法を変える絶好のチャンス。次回からラクになるように工夫しておこう。
Tシャツやセーターは重ねずに、立てて収納する方が全体が見渡せて取り出しやすい。収納は春夏・秋冬と季節で分類せず、ウール系・コットンや化繊系とおおまかな衣類の素材で分類しておくのがオススメ。洗濯方法や防虫対策が同じものをまとめておくほうが、次の入れ替えの時にラクだ。
防虫剤はその成分が上から下に拡散するため、衣類の一番上にのせよう。防虫剤の使いすぎは、室内の空気も汚してしまうので、適量を守って。しっかり防虫剤を使いたい衣類は、密閉できるケースや衣類収納用の袋で保管しておくと安心だ。
時短のためにやめてよい家事もあるけれど、省かないほうがいいひと手間もある。年に2回の衣類の入れ替えは、害虫対策だけでなく、断捨離や次の衣替えをラクにする収納の工夫につながることも。おうち時間を有効に活用する意味でも、この時期、ぜひ取り組んでみて!
東京都出身。暮らし、ライフスタイルを主なテーマとするコラムニスト。本コラムを含め、自著のイラストも自ら手がける。新刊に「お弁当にスープジャー」(辰巳出版)、「新版『願いごと手帖』のつくり方」(主婦の友社)など著書多数。
[日本経済新聞夕刊2020年5月19日付]
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