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脂肪肝、過剰飲酒なくてもリスク 最新検査で早期発見

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NIKKEI STYLE

アルコールをあまり飲まなくても生活習慣や肥満などによって発症する非アルコール性脂肪肝。患者は国内で推定1千万人に達し、「21世紀の国民病」ともいわれる。肝硬変や肝臓がんに進行する前に早期発見・治療することが重要だ。従来は肝臓に針を刺す検査が主流だったためハードルが高かったが、体への負担が小さい検査や診断法が開発された。脂肪肝に特化した専門外来を開設する医療機関も相次いでいる。

「肝臓がんや腹水などの症状が出て初めて診断されても、手遅れになりやすい。高リスクの患者を早く見つける検査法の開発が課題だった」。横浜市立大学大学院の中島淳主任教授は脂肪肝の診断が遅れがちだった以前の状況を振り返る。

従来、肝臓疾患の主な原因はB型・C型ウイルスなどによるウイルス性肝炎や、お酒の過剰摂取によるアルコール性肝炎とされてきた。近年、運動不足や栄養過多など生活習慣と関連がある非アルコール性脂肪肝が新たな疾患として提唱され、注目されている。肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、状態が悪化しても自覚症状が少ない。以前は肝臓に針を刺して細胞を取り出して調べる「生体検査」(生検)しか検査方法がなかったが、痛みや出血を伴うなど患者の負担が大きく、早期診断の妨げとなっていた。

超音波で負担少なく

こうした問題を解決するため2000年代に入って登場したのが、「フィブロスキャン」と「MRエラストグラフィ」という2種類の画像検査だ。いずれも肝臓の硬さ(繊維化の状態)と脂肪量を測ることで肝硬変への進行度を短時間で調べることができる。

中島主任教授が勤務する横浜市大病院は05年にフィブロスキャンを導入し、月約200件の検査を行う。フィブロスキャンはエコー検査などと同様に、肌の上に当てた小型測定器から肝臓に向けて超音波を出して肝臓の硬さを測定する。装置は小型で医療機関にとって導入しやすい。患者の負担が少ない検査が、外来でもできるのが特徴だ。

もう一方のMRエラストグラフィは磁気共鳴画像装置(MRI)を使用する。腹部を振動させ振動波の伝わる速度の違いを利用して肝臓の硬さを分析。分布を色で表示する。硬さや脂肪濃度を数字で示すこともできる。

16年にこの検査を使った「脂肪肝ドック」を始めた新百合ケ丘総合病院(川崎市)の袴田拓消化器内科長は「ドックで140件、通常診療で300件の検査を実施し、脂肪肝の診断と経過観察に威力を発揮している」と強調する。

血液検査によって肝臓の繊維化を調べる手法も開発された。肝機能を示すAST(GOT)、ALT(GPT)と血小板数などを使って計算する「FIB-4インデックス」は繊維化の状態を簡単に把握できるため専門医でなくても使える利点がある。

さらに画像検査と血液検査の結果を組み合わせた「FASTスコア」を使って、治療が必要な患者を絞り込む取り組みもある。

筑波大病院消化器内科(茨城県つくば市)は(1)フィブロスキャン検査の肝硬度測定値(2)肝脂肪量の測定値(3)血液検査のAST値――の3つの結果を使ってはじき出す同スコアが一定の数値を超えると、進行した患者と判定している。

正田純一教授は同スコアについて「複数の検査結果を反映させるので精度が高い」と語る。

増える専門外来

新たな検査法を駆使して脂肪肝の専門外来を開設する医療機関も増えている。18年に専門外来を始めた吹田市民病院(大阪府吹田市)はMRエラストグラフィなどで脂肪肝患者を見つけ出し、外来診察に加えて、管理栄養士による栄養指導を行う。

脂肪肝が進行し、肝硬変になりかけていた田中礼子さん(仮名、55)は薬物療法と食事療法を続けたところ繊維化の進行が抑えられた。体重を減量した効果もあって肝機能が大きく改善したという。

16年に「脂肪肝外来」を設けた神戸朝日病院(神戸市)は脂肪肝患者約250人を継続的に診る。「様々な検査で総合的に診断して早期に高リスク患者を拾い上げるのが専門医の腕の見せどころだ」と金秀基院長は話している。

◇  ◇  ◇

糖尿病・高血圧も危険因子

脂肪肝は肝臓の細胞に中性脂肪が沈着し、肝障害を起こす疾患の総称だ。日本人の成人の20~30%が罹患(りかん)しているとみられる。アルコールをあまり飲んでいなくても、肥満などの生活習慣が主な原因で発症する非アルコール性の脂肪肝は約80%が良性で基本的に進行しない。だが残り約20%は肝硬変やがんに進行する恐れがあり、こちらを非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と呼ぶ。

従来、肝臓疾患の多くはウイルスが原因だったが、抗ウイルス薬の登場で治療法は劇的に進化した。一方で非アルコール性脂肪肝は増え続けており、日本肝臓学会常務理事の小池和彦・東京大大学院教授は「肝臓病治療のメインテーマはウイルス性肝炎から、生活習慣病とも言える非アルコール性脂肪肝に移っている」と強調する。

済生会吹田病院(大阪府吹田市)の岡上武名誉院長によると、患者は60歳までは男性に多く、女性は50歳以降に多い。肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧が危険因子で「これらの因子を多く持つほどNASHに進行するリスクが高まる」という。

(編集委員 木村彰)

[日本経済新聞朝刊2020年5月18日付]

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