血液検査によって肝臓の繊維化を調べる手法も開発された。肝機能を示すAST(GOT)、ALT(GPT)と血小板数などを使って計算する「FIB―4インデックス」は繊維化の状態を簡単に把握できるため専門医でなくても使える利点がある。

さらに画像検査と血液検査の結果を組み合わせた「FASTスコア」を使って、治療が必要な患者を絞り込む取り組みもある。

筑波大病院消化器内科(茨城県つくば市)は(1)フィブロスキャン検査の肝硬度測定値(2)肝脂肪量の測定値(3)血液検査のAST値――の3つの結果を使ってはじき出す同スコアが一定の数値を超えると、進行した患者と判定している。

正田純一教授は同スコアについて「複数の検査結果を反映させるので精度が高い」と語る。

増える専門外来

新たな検査法を駆使して脂肪肝の専門外来を開設する医療機関も増えている。18年に専門外来を始めた吹田市民病院(大阪府吹田市)はMRエラストグラフィなどで脂肪肝患者を見つけ出し、外来診察に加えて、管理栄養士による栄養指導を行う。

脂肪肝が進行し、肝硬変になりかけていた田中礼子さん(仮名、55)は薬物療法と食事療法を続けたところ繊維化の進行が抑えられた。体重を減量した効果もあって肝機能が大きく改善したという。

16年に「脂肪肝外来」を設けた神戸朝日病院(神戸市)は脂肪肝患者約250人を継続的に診る。「様々な検査で総合的に診断して早期に高リスク患者を拾い上げるのが専門医の腕の見せどころだ」と金秀基院長は話している。

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糖尿病・高血圧も危険因子

脂肪肝は肝臓の細胞に中性脂肪が沈着し、肝障害を起こす疾患の総称だ。日本人の成人の20~30%が罹患(りかん)しているとみられる。アルコールをあまり飲んでいなくても、肥満などの生活習慣が主な原因で発症する非アルコール性の脂肪肝は約80%が良性で基本的に進行しない。だが残り約20%は肝硬変やがんに進行する恐れがあり、こちらを非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と呼ぶ。

従来、肝臓疾患の多くはウイルスが原因だったが、抗ウイルス薬の登場で治療法は劇的に進化した。一方で非アルコール性脂肪肝は増え続けており、日本肝臓学会常務理事の小池和彦・東京大大学院教授は「肝臓病治療のメインテーマはウイルス性肝炎から、生活習慣病とも言える非アルコール性脂肪肝に移っている」と強調する。

済生会吹田病院(大阪府吹田市)の岡上武名誉院長によると、患者は60歳までは男性に多く、女性は50歳以降に多い。肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧が危険因子で「これらの因子を多く持つほどNASHに進行するリスクが高まる」という。

(編集委員 木村彰)

[日本経済新聞朝刊2020年5月18日付]

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