作業は1日2時間 服の形崩れ、害虫防ぐ衣替えのコツ
そろそろ衣類を入れ替える季節。しまっている間に形が崩れたり、虫に食われたりした経験をもつ人は多い。トラブルを防ぐ衣替えのコツを聞いた。
夏への衣替えは制服が切り替わる6月1日が目安とされてきた。ただ、近年は季節の境目がはっきりせず、冬物をしまった後に引っ張り出したり、季節構わず出しっぱなしにしたり、という人も少なくない。
整理収納アドバイザーの中山真由美さんは7月ごろまで肌寒い日があることを考え、2回に分けて衣替えをする。「4月上旬に厚手のコートやセーターをしまう。梅雨明け宣言の後に残りを片づける」
1日2時間以内 2日間で作業
作業は1日2時間以内と決めている。「ハンガーパイプに掛けている服」「タンスの中身」などと場所を分け、2日で終わらせる。時間と場所を区切ることで短時間で判断がつき、はかどりやすい。
入れ替えないと、かさばる冬服と混在して着たい服を見つけにくかったり、埋もれてしまったり。中山さんは「衣替えが面倒だと感じるのは服が多すぎるから」と指摘する。
この際、着ない服を処分してみてはいかがだろう。まず、衣替えしたい場所の服をすべて取り出す。「3年間着ていない」、「着古した」ものやその年の流行服は手放す候補に。残すと決めたものは、もう1度洗濯する。汗や皮脂汚れはシミや黄ばみなどの一因になる。食べこぼしなどは害虫を寄せ付ける。
カビを防ぐためにも、洗った服はよく乾燥させよう。柔らかいウールやカシミヤ、レーヨン、絹は特に水分を吸収しやすい。衣替えは晴れて乾燥した日の午前中に行うのが理想的だ。
クリーニングから戻ってきたばかりのコートやスーツは湿気を含んでいる。しまうのは「2時間ほど陰干しをして、薬剤や水分を飛ばしてから」(中山さん)。
洗濯やクリーニングが難しい服の害虫対策には、アイロンの熱を使うのも手だ。エステーR&D部門研究グループの船橋一良さんは「薄手なら害虫の卵は熱で殺せる。軽くたたいて花粉やほこりを落とし、高温のアイロンを数秒間あてるといい」と提案する。
タンスや衣装ケースも掃除しよう。ほこりや繊維くずが残ったままだと害虫がすみつきやすい。ぬれた布で拭くと湿気を帯び、カビが生えやすくなる。「掃除機で吸い出せば十分」(船橋さん)だ。
かさばる冬物はギュウギュウに詰め込みがちになる。だが、服の重さでシワができたり、繊維がつぶれたりするため、「7~8割を目安に保管する」(中山さん)のもポイントだ。襟のあるものは平置きする場合、向きを交互に重ねて形崩れを防ぐ。ダウンジャケットは洗濯ネットに入れると小さくなる。コートなどはタオルを入れて畳み込めば、折りじわがつきにくい。
たくさん収納したい場合は「立てて収納する。平置きより2倍以上入るうえ、重さでつぶれにくく、服も傷みにくい」(中山さん)。
船橋さんも「詰め込みすぎると防虫剤の成分が行き渡りにくくなる」と指摘する。防虫成分は空気より重く、上から下に流れる。服の上に置くのが正しい使い方だ。除湿剤も同じ。クローゼットには大型用の掛けるタイプの防虫剤や除湿剤がおすすめだという。
蓋つきケースは 湿気に注意を
クローゼットのなかで夏物と冬物を一緒にハンガーでかけておく場合は、冬物に防虫成分のあるカバーをかけると安心だ。蓋つきの衣装ケースにも気をつけたい。「湿気は下にたまる。長期間保管するときは天井に近い場所に置く」(中山さん)。ケースは軽くて柔らかい布製タイプがしまいやすく、安全だという。
中身が見える透明の衣装ケースを使っている人もいるだろう。クローゼットの上の棚などよく見える場所に保管すると、「服の色がケースからのぞき、クローゼット内がごちゃごちゃして見える」(中山さん)。中身が見えないよう、目隠しするのも一案だ。
衣替えと同時に日々の服を使いやすく配置してもいい。
「目から腰までの高さには季節に合った服だけ置く」(中山さん)。それ以外は衣装ケースなどに収納するか、上段の引き出しなどに位置を変える。掛けたまま保管したいものは端に寄せる。使用頻度で収納位置を変えることが、ワードローブを考えやすくするポイントにもなる。
(ライター 児玉 奈保美)
[NIKKEIプラス1 2020年5月16日付]
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