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たらこスパゲティ、だしで味わい箸で食す 東京・渋谷

日経MJ

スパゲティに出汁をかけてスープスパとしても楽しめる
スパゲティに出汁をかけてスープスパとしても楽しめる

和風パスタの代表格、たらこスパゲティ。発祥の地ともいわれる東京都渋谷区に1月、専門店「東京たらこスパゲティ」がオープンした。パスタにたらこを絡めただけのシンプルなものから、豆乳クリームを使った変わり種まで多彩なメニューをそろえる。見た目の鮮やかさと、最大限に引き出したたらこのうまみと独特の食感が好評を得て、多くの女性客をひきつけている。

東京たらこスパゲティはアークランドサービスホールディングスの子会社、フィルドテーブル(東京・千代田)が運営する新業態の店舗。渋谷駅から宮益坂方面に徒歩1分でたどり着く。広さ約120平方メートルの店内は木材を基調とした内装となっており、料亭のような落ち着いた雰囲気を醸し出している。

東京たらこスパゲティの大きな特徴の一つが、パスタを食べるのに欠かせないフォークを一切用意せず、全て箸で食べるという点だ。

「『和風』ではなく、『和食』として味わってほしい」。フィルドテーブルの中島宗則社長はたらこスパゲティを純粋な日本食として打ち出し、他店との差異化につなげる考えだ。

メニューは10種類で、価格帯は1000円前後。たらこを絡めたパスタに豆乳クリームのソースをかけたものや、サケの切り身を丸ごとのせたものなどをそろえる。

「炙りたらこのお出汁(だし)スパゲティ」はシソやミョウガをパスタにのせ、カツオと昆布の出汁をかける。お茶漬けのような感覚でパスタを味わえることが評判を集めて、月に6000食が売れるヒット商品となった。

たらこはプチプチの食感と香りを損なわないよう、パスタの余熱40~50度で温めるだけだ。パスタの常識にとらわれないメニューが多いが、主役はあくまでもたらこだ。たらこの品質にこだわり、皮が薄く口当たりの良いものだけを選んで仕入れている。

たらこスパゲティの専門店は都内では珍しい。新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期が決まったが、東京五輪・パラリンピックで外国人観光客の需要を取り込めると判断し、開業した。フィルドテーブルはイタリア料理店も展開しているが、この業態は既に飽和状態。「誰もが知ってるたらこスパを日本の食文化として世界に発信したかった」(中島社長)

流行の発信地、渋谷で開業したのもこうした考えからだ。今は閑散としているが、新型コロナ感染拡大が本格化する3月中旬まで行列が絶えなかった。20代前半の女性客が全体の9割を占め、「最長4時間待つ客もいた」(中島社長)という。

同店は政府の緊急事態宣言を受け、当面の間時短営業を継続。閉店時間を通常の午後11時から午後8時に早めている。一方、混雑の緩和や新規客の開拓を目的に料理の持ち帰りサービスを始めた。新型コロナを契機に昼休みに訪れる会社員など、これまでとは違う客層を開拓。コロナ終息後は年内にも2店を都内に出店する方針だ。

(井上航介)

[日経MJ 2020年5月13日付]

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