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新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、「テレワーク」や「リモートワーク」という言葉が俄(にわ)かに注目を集めるようになった。「テレ」は「遠隔の」という意味の接頭語、「リモート」は「遠く離れた」という意味の英語であるから、共に、在宅勤務など、会社のオフィスから離れた場所で行う仕事のことを指す。

感染拡大の防止に必要なのは人と人との接触を避けることなので、オフィスや通勤電車で人が集まる機会はなるべく少なくした方がよい。4月7日に発令された緊急事態宣言のなかで、政府が対象地域の企業に対して可能な限りテレワークを実施するよう要請したことは記憶に新しい。

「在宅」の実効性

しかし、テレワークやリモートワーク自体は、ICT(Information and Communication Technology、情報通信技術)の急激な進展に伴い「新しい働き方」のひとつとして、2010年代を通じて注目され続けてきたものである。旧来の働き方を大きく変えるテレワークについて、企業や自治体の様々な事例を交えながら紹介した『あなたのいるところが仕事場になる』(森本登志男著、大和書房・2017年)や、そうした働き方の現状と未来をフィールドワークから得られたデータをベースに学術的に論じた『モバイルメディア時代の働き方』(松下慶太著、勁草書房・19年)を読むと、オフィスを離れた「新しい働き方」に対する当時の社会的な注目度の高さを窺(うかが)い知ることができるだろう。

この度(たび)のコロナ危機は、期せずして、こうした働き方の実効性を測る大規模な「社会実験」のようなものになったと考えられる。つまり、これまで(主に「トガった」働き方を志向する人々によって)語られてきたこうした働き方が、「普通」の職場にも適用可能なものなのかということが、今、試されているのである。

しばしば、「新しい働き方」が、日本企業の「古い働き方」を変えられるのではないか(例えばテレワークの導入によって、日本企業特有の「ムダな会議」の多さが変えられるのではないか)という議論を目にする。しかし、こうした議論では「古い働き方」の持つメリットが見落とされがちである。そのことが、この間、徐々に明らかになってきたように思う。

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