『ホモ・デウス』が示す政治課題 AI時代の生きがいとは自民党憲法改正推進本部長 細田博之氏

細田博之氏と座右の書・愛読書
細田博之氏と座右の書・愛読書
ユヴァル・ノア・ハラリの一連の著作を持参されました。
ほそだ・ひろゆき 1944年生まれ。東大卒。官房長官、自民党幹事長などを歴任。永田町有数の蔵書家で、図書議員連盟や活字文化議員連盟の会長を務める。

『サピエンス全史』はこれまでのような「歴史の本」ではありません。これまでの歴史の本は国家の興亡と戦争、英雄と偉人、文化や産業の発展を時系列に述べるのが普通ですが、この本は違います。1万年前には総人口が現在の北海道より少ない500万人、現在は77億人が地球を支配している「人類」とは何か。「ヒトゲノム解析」を試みる過去に類のない著作です。

「ヒト」はいかにしてこの地球を支配するに至ったのか。原始的な狩猟や採取から農耕、牧畜、養殖へと食糧の獲得手段を発明し、集団を守るための規律や宗教を発明し、疫病、災害、他の部族や国家との戦争を経て、今日の科学技術の発展、情報化社会に至る経緯を独自の視点から喝破しており、目からうろこが落ちる思いがしました。

続く『ホモ・デウス』は現代の「人類」が直面している大きな歴史的な難題を提起しています。今日まで人類は個々の経験、知見を集積して「アルゴリズム」としての付加価値を増大させ、所得と豊かな生活を実現してきました。しかし、そのような知恵はすでに膨大な情報集積に基づくAI(人工知能)によって凌駕(りょうが)されつつあります。このような時代に個々人はどのように対処して、生きがいと所得を得られるのか。これまで人類が直面したことのない困難な大問題であり、教育、社会保障も含めて対応を迫られています。これは政治の大きな課題でもあるのです。

最新刊の『21 Lessons』では、我々が進むべき道を示唆します。IT(情報技術)革命がもたらす変化は産業革命よりも大きく、社会制度は劇的に変わっていく。いまある職種が10年後にもあるとは限らない。興味深いことに、最終章で我々がすべきことのひとつとして「ひたすら観察し、瞑想(めいそう)せよ」と説いています。老子や禅などの東洋思想に回帰しているわけです。

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