映画・演劇、3密避けリモート制作 新たな表現法探る

演劇でも同様の試みが広がる。劇団「ロロ」は連作短編劇「窓辺」をユーチューブで配信。第1話は「オンライン飲み会」を開く2人の約20分の対話劇だ。

計6回。俳優たちは自宅にいながら、会えない人たちがビデオ通話でコミュニケーションをとろうとする様を演じた。脚本・演出の三浦直之は「集まることができない中、どう演劇的な行いができるか考えた」と語る。「話していても互いには触れない。それをモチーフに『通話劇』をしたら面白くなると思った」。5月中旬に第2話、6月上旬に第3話を公開する予定。

「未開の議場―オンライン版―」は俳優がZoomを使い自宅で演じた(17日)

脚本・演出家の北川大輔が自身の劇団「カムヰヤッセン」の過去作をリメークした「未開の議場―オンライン版―」も稽古から本番まで全てがリモートだ。17~19日に計3回を生で配信した。舞台は商店街の祭の実行委員会が開くオンライン会議。外国人の受け入れを巡る住人の亀裂を描く今日的なテーマだ。「様々な分断が新型コロナで可視化された。6年前の作品だが、期せずして時節に合ったものになった」と北川。

映画や演劇は大勢の人が顔を合わせ、密接にやりとりしながら作品を完成させる。集団制作が難しくなった今、新たな手法を模索する動きが広がる。その潮流はテレビ番組にも及ぶ。

TV番組にも波及

ビジネスをテーマにしたテレビ東京のバラエティー「今日からやる会議」(毎週土曜深夜)は今月、収録をビデオ会議を使ったリモートに切り替えた。「画像だけだと単調に見えてしまう。編集で情報を多めに入れるなど、通常とは配慮する点が変わる可能性がある」と合田知弘プロデューサー。リモート制作した番組は5月から放送予定だ。

今までの常識を覆す試みだけに苦労は多い。演劇では自撮りだとカメラの画角が狭く、自然な演技をすると画面からはみ出してしまう。そのため稽古で身ぶり手ぶりを入念に確認したという。それでも「生身の俳優を見てもらいたい」(北川)という思いは強い。

演者やスタッフの士気を高め、観客をつなぎとめ、表現を守る。そんな決意がリモート制作の輪を広げる。

(関原のり子、北村光)

[日本経済新聞夕刊2020年4月28日付]

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